宗義智

宗義智（そう よしとし）とは

宗義智は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての大名で、対馬国（現在の長崎県対馬市）を治めた宗氏の20代当主であり、対馬府中藩の初代藩主です。彼は、豊臣秀吉の命を受けて朝鮮との外交交渉に尽力し、文禄・慶長の役では先鋒として活躍しました。関ヶ原の戦いでは西軍に与しましたが、戦後、徳川家康によって所領を安堵され、日朝間の国交回復に大きく貢献しました。

生涯

家督相続

永禄11年（1568年）、宗家15代当主・宗将盛の四男として生まれました。兄たちが相次いで早世したため、天正7年（1579年）に、叔父で養父の宗義調の養子となり宗家の家督を継ぎました。しかし、天正15年（1587年）には義父の義調が当主として復帰したため、義智は家督を返上しました。これは、豊臣秀吉による九州征伐が始まったため、義智が義調と共に秀吉に従ったことによります。この時、対馬一国は安堵されました。

朝鮮との交渉

秀吉から朝鮮を服属させるようにとの命令を受けた義智は、義調や小西行長らと共に交渉に尽力しましたが、義調の死なども重なり、交渉は難航しました。天正18年（1590年）には、朝鮮からの使節を秀吉に謁見させますが、これは義智が朝鮮側に偽りの要請をしたものでした。この使節を秀吉は朝鮮が服属したと受け止め、朝鮮に明の征服事業の先導を命じることになりました。

文禄・慶長の役

朝鮮との交渉は結果的に失敗し、天正20年（1592年）に文禄の役が始まると、義智は一番隊の先導役を任され、日本軍の先鋒として戦いました。義智は5,000人の兵を率いて釜山に上陸し、その後も主要な戦闘で活躍しました。

文禄の役では、平壌攻略、明軍との戦いなど、数々の激戦に参加しました。一時、明との間で講和交渉も行われましたが決裂し、慶長2年（1597年）には慶長の役が勃発。義智は再び朝鮮へ出兵し、全羅道、忠清道、京畿道まで侵攻しました。秀吉の死後、朝鮮から撤退する際にも、撤退を妨害する明・朝鮮水軍と交戦し、日本軍の撤退を支援しました。

関ヶ原の戦いとその後

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは西軍に与しましたが、戦後、徳川家康によって所領を安堵されました。家康は、悪化した朝鮮との関係を修復することを望んでおり、義智の朝鮮との外交交渉能力を高く評価しました。義智は、家康の期待に応え、慶長14年（1609年）に朝鮮との和平条約（己酉約条）を締結し、日朝間の国交回復に大きく貢献しました。この功績により、宗氏は幕府から独立した機関として朝鮮との貿易を行うことが許されました。

慶長20年（1615年）に48歳で亡くなり、跡を長男の義成が継ぎました。

人物

初めは昭景と名乗っていましたが、後に秀吉から「吉」の字を与えられ、吉智と名乗りました。その後、義智に改名しました。朝鮮との交渉を懸命に行ったのは、貿易利害のほか、対馬が戦場になることを恐れたためとされています。

義父の小西行長の影響でキリシタンとなり、洗礼名はダリオでした。イエズス会宣教師からは、慎み深く、学識があり、立派な性格の持ち主と評されています。

宗義智の系譜

父：宗将盛
母：竜安院（立石高弘の娘）
養父：宗義調
正室：妙（小西行長の娘、洗礼名：マリア）
継室：威徳院（河村氏または阿比留氏）
長男：宗義成

宗義智と関連する人々

佐須景満：対馬国守護代
宗智順：宗義智の甥
大石智久：家臣
木村智清：家臣
杉村智清：家臣、朝鮮出兵で戦死
柳川智永：家臣、後に柳川一件に関与
小西行長：岳父
マンショ小西：宗義智と小西マリアの子という説がある人物

宗義智は、戦国時代から江戸時代初期にかけて、激動の時代を生き抜いた大名であり、外交手腕によって日本と朝鮮の国交回復に貢献しました。その生涯は、日朝関係史において重要な位置を占めています。

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