官生

官生について

官生（かんしょう）は、琉球王国において、王の命によって中国の国子監に送り込まれた留学生のことを指します。これは後の官費留学生に相当します。官生制度は、1392年に中山・察度王時代に始まり、1869年に至る約477年間、琉球から100名以上が派遣されました。特に81名が国子監に入学し、儒学や史学、詩文を学び、帰国後は琉球王府の重要な役職に就くなど、中国の新しい知識や文化を琉球に持ち帰りました。

官生制度の生命線

官生の派遣にあたっては、琉球側からの官費が支給されましたが、留学中の学費や生活費は中国側が大部分負担しました。派遣は琉球の新国王が改めて冊封を受ける年に行われる決まりで、これまでに24期にわたり派遣されてきました。初めは王や高官の子弟が多く選ばれていましたが、次第に久米村からも選ばれるようになり、最終的には久米村出身者が多くを占めるようになりました。この状況に対し、久米村の住民は反発し、官生の独占に対する官生騒動が発生しました。

官生制度の初期の形

官生制度の始まりは、明国の1372年に遡ります。その際は中山王察度が明に使者を送ったことが契機となり、20年後の1392年には中山や南山の国王が王子や陪臣の子弟を国子監に入学させることが始まりました。初期の官生たちは成績が芳しくなく、長期の留学に耐えられない者も多く、結果的に多くが帰国を余儀なくされました。これを受けて、第二尚氏の尚真王は、官生選抜の制度を改定し、中国系住民が多い久米村からの選出を進めました。この改訂により久米村出身者が官生の地位を独占することとなります。

官生騒動の背景と結果

18世紀に入ると、久米村出身者が琉球社会に同化し、官生の質が低下しました。その中で、「勤学」という別の制度もあり、官生の地位を占めていくことになります。1796年、蔡世昌が久米村人による官生の独占を憂慮し、公設学校の設立を進言しますが、これが官生騒動の引き金となりました。久米村は急遽反対運動を展開し、王府との交渉の末、官生の選抜方法が変更される動きが見られましたが、騒動は激化し、暴動へと発展します。

この騒動により、多くの人々が逮捕・処罰され、蔡世昌も憂死するという大きな犠牲を払いました。しかし、この騒動を受けて、王府は官生制度の改革を行い、国学という新しい教育機関の設置へとつながりました。最終的に、新たに設立された国学は、琉球の教育の中心として機能し、多くの人材を育成することとなります。

結論

官生制度は琉球王国の歴史において重要な役割を担っていました。留学を通じて得られた知識は、琉球王国の文化や政治に大きな影響を与えました。この制度は時代と共に変化し、官生騒動など様々な社会問題を引き起こしましたが、その後の国学設立を通じて琉球の教育制度の確立にも寄与したのです。

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