官田

官田（かんでん）についての概要

官田は、日本と中国で異なる概念として存在します。日本では古代において皇室や朝廷が所有していた田地を指し、一方、中国では国が所有する田地のことを指します。ここでは、それぞれの国における官田の歴史的背景や制度について詳しく解説します。

日本における官田の歴史

日本での官田は古代、日本の皇室や朝廷によって所有されている田地を指し、時代によってその意味合いが変わってきました。

養老令における官田

『養老令』では、畿内の4国に設置された食料供給用の田地が官田として定義されています。これは大化以前の屯田や御宅に起源を持ち、後の大宝令や延喜式でも記録されています。

これらの官田は、宮内省が管理し、班田農民による雑徭で耕作されました。牛が耕作に使用されるなど、効率的な農業経営が行われていました。特に、延喜式では和泉国を含む86町が記載されています。

平安時代以降の官田

平安時代の元慶3年（879年）には、官人の給与に充てるための4000町の官田が設置されました。この官田は、直営的経営と賃租制を組み合わせた複数の運営方法が用いられたのが特徴です。元慶5年（881年）には、官田の一部が他の財源に振り向けられるなど、官田制度は時代に応じて変化を遂げました。

中国における官田

中国における官田は、宋代以降に中央政府が所有する田地を指します。この制度は、公田に代わる新しい概念として登場しました。

設立の背景

8世紀半ば、両税法が施行されたことにより、中央政府は税収の改善を目指して官田を設立しました。国家が直接所有する土地を民間に貸し出し、高税率の公課を徴収する形で運営されるようになりました。

官田の内容

宋代の官田は、北元以降には低湿地の開墾、民有地の買上げ、戦乱後の荒廃地の収用など、様々な方法で形成されました。この官田は中央政府の管理下にあり、小作人から租を徴収する形で運営されました。

地方政府との連携も行われるようになり、明代には官田の税が再定義されました。ただし、税負担が重かったため、滞納や逃亡が頻発し、安定した収入を得ることは困難でした。

官田の経営

官田の小作人には零細農民だけでなく地主層も多く、彼らが官田を請け負うケースもありました。農地の耕作権は売買が可能であり、地主層による官田の経営が一般化しました。

官田の消滅

16世紀前半には官田制度が税率一本化の動きとともに基本的に消滅しました。ただし、皇室の直轄地や軍営など特定の目的での使用は維持されました。

このように、日本と中国の官田は、それぞれの国の歴史や経済事情に根ざした異なる制度を反映した存在であり、農業政策や税制と密接に関連しています。

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