定山渓鉄道ED500形電気機関車

定山渓鉄道ED500形電気機関車

定山渓鉄道ED500形電気機関車は、1957年に定山渓鉄道によって新たに導入された直流電気機関車です。この車両は、長野電鉄や越後交通でも使用され、さまざまな地でその役割を果たしました。以下では、この機関車の概要や特徴、歴史的背景について詳しく説明します。

概要

定山渓鉄道線は、1918年に非電化で開業し、1929年には電化されました。電化以降、旅客輸送は電車に切り替わり、貨物は蒸気機関車による運行が続けられていました。しかし、1955年頃から、豊平峡ダム建設のための資材輸送が必要となると、従来の蒸気機関車では牽引力が不足することが判明しました。これを受けて、超長大且つ重い貨物を効率よく運搬するためにED500形が設計・製造されることとなります。

ED500形の設計と製造

ED500形は、50t級の「D形電機」として設計され、当時の国鉄のEF58形に似た流線型の外観が特徴です。車両は三菱電機と新三菱重工業のコラボレーションによって製造されました。さらに、運行時の安全性を考慮して、空転検知装置や抑速発電制動機能も備えられており、寒冷地での使用に向けた凍結防止用のヒーターも装備されています。

運用歴

1969年、定山渓鉄道線が全廃される際にED500形は長野電鉄に譲渡され、ED5100形として再編成されました。その後、1979年に長野電鉄が貨物輸送を廃止したため、再度越後交通に譲渡され、こちらでの運用も続きました。越後交通では、主力機として活躍し、1995年の長岡線の廃線までその役目を果たしました。

車両の特徴

ED500形は全長13,800mmの全鋼製箱型構体を持ち、運転台は進行方向右側に設置されています。外装は青色を基調に白の帯が施され、運転台前面の窓や側窓の形状が国鉄のEF58形に似ている点も興味深いです。

主要な技術仕様としては、手動加速制御を行う電空単位スイッチ式制御装置が設備されており、勾配運行に関する機能も充実しています。主機には4基の直流直巻電動機が搭載されており、強力な牽引力を発揮。この設計のため、貨物列車の牽引に十分な性能を持っています。

結論

ED500形は、定山渓鉄道の歴史において重要な役割を果たし、後の地方交通企業にも受け継がれた貴重な電気機関車です。その卓越した設計と機能性は、多様な地形や運行条件においても十分な性能を発揮し、北海道の厳しい冬や勾配線区でも活躍しました。最終的には定山渓鉄道の最後の現役車両として、多くの鉄道ファンに記憶される存在となりました。

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