宝珠院 (西尾市)

宝珠院の概要

宝珠院（ほうしゅいん）は、愛知県西尾市吉良町に位置する浄土宗西山深草派の寺院で、山号は如意山、寺号は国寿寺です。現在の本尊は阿弥陀三尊で、34代目の住職がその伝統を引き継いでいます。この寺院は、1450年に天台の僧である教印栄俊によって創建され、その歴史は深く根ざしています。

沿革

宝珠院の起源は、教印栄俊が比叡山から東国へ巡り歩く途中、当地の海に現れた神秘的な現象を目にしたことに始まります。彼は、比叡山から持参した十一面千手千眼観世音菩薩像を安置して草庵を結びました。さらに富士山に登り、そこで霊的な啓示を受けた後、自ら彫刻した大日如来像を持ち帰り、その像を本尊にして寺院を設立しました。この新しい寺院は最初は如意山寳珠院穀聚寺と呼ばれていましたが、いつの頃からか国寿寺に改名されました。

5代目の住職・珠光の時代に、寺院は浄土宗に改宗され、以降阿弥陀三尊を本尊として法灯が継承されています。1579年には豊臣秀吉から寺域を拝領し、さらに徳川家からも庇護を受けることになり、両家の位牌が祀られています。その際、寺院の紋章として「三ツ葉葵」が用いられました。

境内の構成

本堂

境内の中心に位置する本堂は、1675年に14代目住職・圭空によって再建されたものです。その堂内には、信者たちが敬虔に礼拝する姿が見られ、地域の信仰の拠り所とされています。

草切殿（草切観音堂）

草切殿は、十一面千手千眼観世音菩薩を本尊としており、草分けの地域として崇められています。この堂は2001年に再建され、開創550年を記念して新たな姿を現しました。

忠魂堂

忠魂堂には、教印栄俊自刻の富士浅間大日如来が安置されています。この堂は1902年に建立され、吉良町で亡くなった戦没者が合祀されています。

六角鐘楼門

2001年に開創550年を祝い、新たに建立された六角鐘楼門は、六波羅蜜を象徴し「慈悲の鐘」と「智慧の鐘」の二つの梵鐘を備えています。

三原の松

境内の右側に位置する庭園には、富士山を模った笠松が植えられており、樹齢は推定200年を超えます。豪商三原屋から移植されたため「三原の松」と呼ばれ、長寿を象徴する松として信仰されています。

文化財

宝珠院には西尾市指定有形文化財とされる三台七曜廿八宿星曼荼羅や、2017年に登録された本堂、書院、忠魂堂があります。これらの文化財は寺院の歴史や伝統を物語る重要なものです。

行事

年間を通じて、多くの行事が行われています。修正会や新年祭、涅槃忌、法要のほか、毎月の特定の日にお経が読まれる「お経の会」や、草切観音の祭りがあります。これらの行事は、信者にとって重要な宗教活動であり、地域の人々が一緒になって参加します。

結論

宝珠院は、長い歴史と伝統を有する寺院であり、地域の信仰の中心として多くの人々に親しまれています。其の美しい境内や行事は、訪れる人々にとって精神的な癒しとなることでしょう。歴史を感じながら、心静かに過ごすことのできる場所です。

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