宝福寺 (総社市)

宝福寺の概要

宝福寺（ほうふくじ）は、岡山県総社市井尻野にある臨済宗東福寺派の寺院です。山号は井山（いやま）で、本尊は虚空蔵菩薩とされています。この寺院は「宝福禅寺」とも呼ばれ、室町時代の名画僧である雪舟が修行した場所としても知られています。

歴史

宝福寺の創建年代は明確ではありませんが、天台宗の僧・日輪によって設立されたとされています。元々は天台宗に属していましたが、鎌倉時代の貞永元年（1232年）に、禅僧の鈍庵慧總がこの寺を禅寺として改宗しました。

当時の天皇、四条天皇が病気にかかっていた際、鈍庵は天皇の健康回復のために祈願を行い、その結果、壇前に流星が落ちたことをきっかけに病気が快方に向かいました。その落下地点に井戸を掘り「千尺井」と名付けたことが、山号「井山」の由来となっています。その後、この寺院は天皇の勅願寺として発展し、一時は多数の塔頭や末寺を持つ大規模な寺院となりました。

戦国時代には、備中兵乱において地元の戦国大名である三村氏に協力し、天正3年（1575年）には伽藍が戦火により焼失しました。江戸時代に入ってからは再建が進み、現在のような本格的な禅寺としての姿を取り戻しました。特に、本堂にあたる仏殿は享保20年（1735年）に再建されています。

境内の特徴

宝福寺の境内は、秋になると美しい紅葉の名所として訪れる人々に親しまれています。また、この地方にゆかりのある政治家、橋本龍伍及びその子の龍太郎の墓も存在しています。

雪舟のエピソード

室町時代にこの寺院で修行していた雪舟は、若き日に絵を描くのが好きでした。禅師が雪舟を柱に縛り付けて修行に集中させようとしたところ、雪舟は涙で描いた鼠の絵を残しました。このことから禅師は彼の絵を諦め、雪舟は自由に創作することができるようになったと言われています。

文化財

宝福寺は多くの重要文化財を抱えています。国指定の文化財には、総高18.47メートルの三重塔や絹本著色の地蔵菩薩像、十王像などがあります。三重塔は、南北朝時代のものと確認されており、岡山県内で二番目に古い塔とされています。

また、岡山県指定の重要文化財には、1468年に鋳造された梵鐘や南北朝時代の文書が含まれています。これらの文化財は、宝福寺の文化的価値を高めています。

アクセス

宝福寺へのアクセスは、JR総社駅からタクシーで約8分、または中鉄総社バスの神原線を利用して約8分です。湛井バス停から徒歩でのアクセスも可能ですが、本数が少ないため、事前に確認が必要です。車の場合は、岡山自動車道の岡山総社ICから国道180号を経由して約10分です。

宝福寺は、歴史的背景や文化財だけでなく、美しい自然とともに訪れる人々に安らぎを提供する場所です。

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