宝蓮灯

宝蓮灯（ほうれんとう）

『宝蓮灯』は、中国に古くから伝わる神話で、天界に住む仙女と人間との恋の物語です。神話に登場する「三聖公主」という仙女が、書生である劉彦昌との間に生まれた子ども、沈香を中心に形成されるドラマが特徴的です。この物語は異類婚姻譚として知られており、これまでに多くの映像作品や戯曲にアレンジされています。

ストーリーの概要

物語は、華山にある聖母宮に住む三聖公主が主人公です。彼女は人間界で生計を立てている書生、劉彦昌と深く愛し合い、二人の間に沈香という子を授かります。しかし、三聖公主の兄であり、天界の司法神である二郎神は、妹を人間界から連れ戻そうと決意します。自身の力に抗う三聖公主を、二郎神は岩山に閉じ込めることに。しかし、沈香は普通の人間として育ち、ある日突如として自分に神通力が備わっていることに気づきます。

二郎神は沈香に、自身が仙女の子であり、特別な力を持っている理由を明かします。沈香は「宝蓮灯」と呼ばれる神秘の道具を利用し、母を救うための修行を始めるのです。この物語は「劈山救母」、すなわち「山を割り、母を救う」としても知られています。

主な登場人物

物語には多くの魅力的なキャラクターが登場します。三聖母（またの名を三聖公主）は仙女であり沈香の母です。彼女は二郎神の妹でもあります。二郎神（楊戩）は天界の司法を司る神で、ストーリーの要となります。沈香は三聖母と劉彦昌の息子であり、物語の主人公です。

劉彦昌は書生であり、提灯を作ることで生計を立てています。彼と三聖母は恋に落ち、沈香を一人で育て上げます。その他にも、玉皇大帝（天帝）、王母娘娘（仙女たちの統率者）、朝霞（霊芝、三聖母に仕える巫女）、霹靂大仙（沈香の師匠）、瑤姫（玉帝の妹）、楊氏（両兄妹の父）など、様々なキャラクターが登場します。

物語の影響と映像化

『宝蓮灯』は多くの映像作品としても制作されています。1999年にはアニメ映画が公開され、声優には姜文や徐帆が起用されました。その後、2001年には台湾制作のドラマ「天地伝説之宝蓮灯」が放映され、さらに2005年にはCCTV-8によるテレビドラマが制作されました。2009年には、「宝蓮灯前伝」と名付けられた前日譚も展開され、二郎神と三聖母の悲恋の歴史が描かれました。

このように、『宝蓮灯』は中国の豊かな文化の一部であり、愛と親子の絆をテーマにした感動的な物語として、今なお多くの人々に愛されています。

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