二郎神

二郎神（じろうしん）について

二郎神は、道教において治水の神であり、武神として広く認知されています。彼にはさまざまな呼称があり、例えば「二郎真君」や「顕聖二郎真君」などが存在します。中国の古典文学、特に『西遊記』や『封神演義』にもしばしば登場し、多くの人々に親しまれている神であることが、彼の大きな特徴です。

起源と歴史

二郎神の起源については、いくつかの説があります。その中でも特に有力とされるのは、成都平原における都江堰の利水工事を成功させた秦の蜀郡の郡守、李冰の息子である李二郎の伝説や、蛟竜を退治する道士、隋代の嘉州太守の趙昱に由来するという説です。また、他にも東晋の襄陽太守である鄧遐の蛟竜退治の逸話や、後蜀の孟昶に関する伝説、さらには祆教の神など、多様なルーツが絡み合いながら、二郎神が形成されたのではないかと考えられています。特に、楊二郎（楊戬）としての伝説が有名で、『西遊記』や『封神演義』を通じて広く知られています。現在、四川省の灌口（都江堰）で神として祭られており、これがから「灌口二郎」という名が付けられたと言われています。

また、唐の玄宗や北宋時代の真宗からは神号を授かり、元朝や清朝からも相応の名を与えられています。

二郎神の一般的な姿

二郎神は、テレビや映画、絵画の中では通常、額に縦長の第3の眼を持ち、鎧を身にまとった武人の姿で描かれることが多いです。彼は変化の術に長けており、武器としては三尖両刃刀や弓を使用し、神犬の哮天犬や鷹を伴っている姿が一般的です。魔物を退治するシーンで頻繁に登場することから、二郎神は広く知られています。

古典文学における二郎神

西遊記

『西遊記』では、玉皇大帝の姉の子供として描かれ、玉帝の妹が人界に下り、楊氏という人間に嫁いで生まれました。物語の中で、孫悟空を捕らえるために二郎真君は登場し、美青年として神犬を連れています。悟空の暴れぶりに困った玉帝の要請で、彼は義兄弟たちを連れて悟空との闘いに臨み、様々な変身を駆使して戦います。最終的には、悟空を捕らえることに成功します。

封神演義

明代の『封神演義』では、楊戬という名の道士として登場し、玉泉山の金霞洞に住んでいます。彼はさまざまな術に長けており、姜子牙を助けるために下山します。武器としては三尖刀を持ち、哮天犬が特徴です。

雑劇とその他の作品

元代の雑劇『二郎神酔射鎖魔鏡』や明代の『灌口二郎斬健蛟』などにも登場し、彼の活躍は多くの作品で描かれています。特に、『聊斎志異』の中では、上帝の命令で事件の判決を下す役割を果たします。さらに、伝説『宝蓮灯（劈山救母）』では、彼が母を救出する物語が語られています。

このように、二郎神は幅広いストーリーの中でさまざまな役割を果たし、彼の伝説は中国の文化に深く根付いていることがわかります。

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