宝蔵王

宝蔵王の生涯と治世

宝蔵王（ほうぞうおう）は、高句麗の第28代王であり、生年は不詳ながら682年に亡くなったことが知られています。彼の姓は高で、諱は臧（または寶臧）です。宝蔵王は先代の栄留王の弟である大陽王の子であり、642年に栄留王を暗殺した淵蓋蘇文によって即位しました。しかし彼の治世は実権を持たない王としての苦難の日々でした。

治世の特徴

宝蔵王の治世は、政権内での混乱と天災が相次いだ時代でした。淵蓋蘇文の影響で、道教振興策が国政に反映される一方で、実際には王としての権力を持つことができず、彼自身の意志で国を治めることは難しかったです。また高句麗は、当時新羅と唐と敵対関係にありましたが、百済とは同盟を結び、それに力を入れていました。この「麗済同盟」は、両国間の結びつきを強化する役割を果たしました。

唐の軍事的な動きに対して、宝蔵王の国は初めての侵攻では善戦を見せ、唐の太宗が直接指揮した第1次侵攻を撃退することができました。ですが、高宗の統治時代に入ると唐が戦略を変えて持久戦に移行し、高句麗の国力は次第に消耗していきました。それに伴い、内部での離反や紛争が頻発し、状況は一層悪化していったのです。

高句麗の滅亡

660年に百済が唐に滅ぼされると、唐と新羅が後ろから攻め寄せる状況に追い込まれました。666年に淵蓋蘇文が亡くなると、その子供たちの間で後継争いが勃発し、淵男生の派閥は唐に降伏しました。一方、淵蓋蘇文の弟である淵浄土は新羅に投降しました。この混乱の中、668年には連続した唐の侵攻が高句麗の首都であった平壌の長安城を攻略し、結果的に高句麗は滅亡を迎えることとなりました。

宝蔵王は唐に降伏し、長安に拘束されたものの、彼自身には政治的責任がないとして処刑は免れました。その後、唐から司平大常伯や員外同正に任命されるという意外な待遇を受けました。

高句麗滅亡後の動向

高句麗の滅亡後、唐が朝鮮半島における支配を放棄することが決まると、遼東地域には動揺が広がりました。このような状況下で、宝蔵王は677年に遼東州都督・朝鮮王に任命され、故国に戻されることになります。しかし、彼は唐の意に反し、高句麗の流民を集結させ、靺鞨と手を結んで国の復興を図ります。これが発覚すると681年に四川省の邛州に流され、682年頃に亡くなったとされています。

高宗は宝蔵王の死後、彼の遺体を首都長安に送り、突厥の頡利可汗の墓の近くに葬らせました。彼の波乱に満ちた人生は、失われた国の復興を夢見る者たちにとって、たとえ叶わぬものであっても語り継がれるべき物語となりました。

メディアにおける登場

最近では、宝蔵王がテレビドラマ『大祚榮』に登場し、彼の生涯や高句麗復興を目指す姿が描かれています。番組では、彼が東明天帝団の影の指導者として描かれ、歴史を題材とした物語に新たな視点を提供しています。

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