実録 私設銀座警察

実録・私設銀座警察

1973年7月4日に公開された映画『実録・私設銀座警察』は、戦後の復興が進む銀座を舞台に、暴力団の興亡をリアルに描写した作品です。製作を手がけたのは東映であり、監督は佐藤純彌、脚本は神波史男と松田寛夫が担当しました。日本映画としての特徴を生かしながら、当時の社会状況や人々の葛藤をうまく映し出しています。

ストーリー概要

戦後の混乱した銀座に、さまざまな勢力がのし上がりつつありました。国外からの移民や米兵が増え、地元の人々の生活に影響を及ぼしています。そんな中、博徒である宇佐美義一を中心に、退役軍人の池谷三郎や樋口勝、岩下敏之らが「私設銀座警察」という暴力団体を結成します。このグループは、鬱憤を晴らす目的で活動を開始し、まもなくして銀座の裏社会での顔役となります。

彼らは、人々の不満を利用し、三国人が住む地域を襲撃する事件を引き起こしますが、ここから一連の抗争が始まります。退役兵の渡会菊夫を鉄砲玉として送り込み、銀座の勢力を掌握していた中根兄弟との対立を経て、勝利を収めます。しかし、この成功の裏には、彼ら自身の内部抗争が待ち受けていました。

池谷と宇佐美は、利権を巡る対立から熾烈な争いを始め、その過程で暴力とセックスが絡み合った危険な道へと足を踏み入れてしまいます。「私設銀座警察」は、表向きの秩序を保ちながらも、内部分裂を引き起こし、次第に破滅への坂を転がり落ちていくことになります。

キャスト

この映画には、豪華なキャスト陣が揃っています。宇佐美義一役には葉山良二、池谷三郎役には安藤昇、渡会菊夫役には渡瀬恒彦が起用されています。また、井口勝、岩下敏之、三好、福山といったキャラクターも個性的で、物語を引き立てます。特に、池谷役の安藤昇の存在感は圧巻で、彼の演技が作品のリアリティを高めています。

製作とスタッフ

本作は、吉田達の企画のもと、撮影には仲沢半次郎が携わり、音楽は日暮雅信が担当しました。編集は長沢嘉樹が行い、そのおかげでストーリーのテンポも良好です。美術や照明にも力が入れられ、戦後の銀座の雰囲気を巧みに再現しています。

同時上映

この作品の同時上映には『温泉おさな芸者』があり、こちらも注目の作品です。

結論

『実録・私設銀座警察』は、戦後の日本社会を背景にしたリアルな人間ドラマとして、暴力団の抗争や人間関係を鋭く描写しています。この映画は、当時の社会情勢や人々の心理を探るうえで、興味深い視点を提供してくれます。観る者に強い印象を残す作品として、多くの映画ファンに愛され続けています。

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