宣和奉使高麗図経

『宣和奉使高麗図経』について

『宣和奉使高麗図経』は、宋王朝の著名な歴史家である徐兢によって編纂された、高麗に関する貴重な史書です。この書は全40巻から成り、徐兢が高麗を訪れて収集した情報を基にしています。彼は徽宗の宣和年間に使節として高麗に派遣され、相当な期間を開城に滞在。その後、中国に帰国し、観察した内容を整理して献上しました。この書は、高麗の歴史や政治制度、社会状況などを詳細に記録しており、現在において非常に重要な史料とされています。

成書の背景

著者である徐兢（1091年 - 1153年）は、北宋の出身で、絵画や書道に優れた才能を持っていました。彼は当時、地方官としての職務も務めながら、様々な役職を経験しました。1123年には、高麗の王、睿宗の死を受け、中国から弔意の使者として派遣され、その一員として高麗に滞在しました。だが、彼はこの機会をチャンスと捉え、国の成り立ちや風俗、政治制度について探求し、後にそれを詳細に記録することとなります。

書籍編纂の目的

徐兢は『宣和奉使高麗図経・原序』で、彼がこの書を編纂した目的は、古代の外交使節が経験した見聞を継承し、情報をまとめることだと述べています。これにより、彼は中国皇帝が外国の国情をより深く理解できるように努め、東方の文化や制度に対する関心を引き続き高めることを意図していました。

編纂過程

高麗に滞在中、徐兢は広く質問し、情報を集めました。彼は帰国後に、耳にした情報と目にした光景を、類似点や相違点を考慮しながら整理し、発展させています。1124年に完成されたこの書は300以上の項目を含み、全40巻に及びました。

書の構成と主要内容

『宣和奉使高麗図経』の内容は多岐にわたり、以下のセクションに分けられています。

• - 建国: 高麗の成立に関する歴史。
• - 世次: 各代の君王の一覧。
• - 城邑: 高麗の城や地理情報。
• - 官府: 政府機関の構成。
• - 民庶: 当時の社会階層や生活。
• - 儀物: 高麗の文物や服飾。
• - 海道: 海上交通に関する情報。 などなど。これらの詳細な記録は、高麗の文化や制度を理解するうえで非常に有用です。

史料としての価値

『宣和奉使高麗図経』は、中国と朝鮮半島の地理的近接性により、頻繁に行き来が行われていた中での唯一の豊富な資料です。それに対し、他の著作は文献が限られたり、失われたりしていることが多いため、本書は中世の中韓関係や交通史を学ぶ際の貴重な情報源となります。

中国での流伝

この書は、南宋の乾道年間に徐兢の親戚によって再編成され、一部の図版は失われましたが、今でも台湾の国立故宮博物院などで見ることができます。さまざまな再版や編纂が行われてきましたが、完璧な形で残っているわけではないことも留意しておくべきです。

結論

『宣和奉使高麗図経』は、高麗の歴史や文化についての貴重な洞察を提供し、古代中韓関係の理解において欠かせない文献といえるでしょう。

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