宣懿王后

宣懿王后 魚氏の生涯

宣懿王后 魚氏（セニオウコウ ギョシ）は、李氏朝鮮第20代国王である景宗の継室としての人生を歩みました。彼女は康熙44年10月29日（1705年12月14日）に生まれ、雍正8年6月29日（1730年8月12日）に亡くなるまでの短い生涯は、波乱に満ちたものでした。彼女の本貫は咸従魚氏で、諡号は敬純王大妃とされています。彼女は歴代王大妃の中でも早くにこの世を去った人物の一人です。

家族の背景

宣懿王后の父は魚有亀、母は完陵府夫人の全州李氏であり、母方は中宗の庶子である永陽君の5世孫にあたります。実際には、彼女は成宗の7世孫となります。このように、彼女の血筋は王朝に深く根ざしており、彼女自身もその権力の一端を担うこととなるのです。

継室となるまでの経緯

宣懿王后は、漢城府東部の崇強坊（現・ソウル特別市）に生まれました。彼女が13歳のとき、景宗が王世子の地位にあった際、前妻の世子嬪である沈氏（後の端懿王后）が若くして亡くなりました。そのため、1718年に彼女は景宗の継室として嫁ぐことになります。この結婚は、当時の政治状況においても重要な意味を持っていました。

政治的葛藤と影響

景宗即位後、宣懿王后は少論の支持を受ける景宗と、老論の支持を受ける弟の延礽君との間で繰り広げられる権力闘争に巻き込まれます。少論は景宗夫婦と深く結びつき、老論は延礽君を王世弟に冊封するように動きます。王はこれを承諾しますが、延礽君が代理聴政をする話が持ち上がると、少論は老論が景宗を殺そうとしているとの陰謀を吹聴し、政権のバランスが崩れていくことになります。この事態は辛壬の獄に繋がり、老論は没落していきます。

宣懿王后はこの混乱の中で、逆賊・李麟佐（イ・インジャ）と結託し、少論の支持のもと密豊君李坦を養子として迎え入れ、延礽君を追い出そうとしました。しかし、最終的には延礽君が景宗を毒殺し、計画は水なき泡と消えてしまったのです。

王大妃としての苦悩

景宗の死後、宣懿王后は王大妃となりますが、彼女は新たに即位した英祖とは不仲の関係にありました。1730年、英祖暗殺未遂事件が持ち上がると、彼女は食事を取らずに過ごし、最終的には慶熙宮の魚藻堂で亡くなります。その享年はわずか24歳という若さでした。

埋葬地

宣懿王后は景宗の陵である懿陵に埋葬されました。彼女の短命の生涯は、当時の激動の政治状況や王朝内の権力闘争とも密接な関係があったのです。

登場作品

彼女の生涯は、近年のテレビドラマにも取り上げられており、2016年に放送された『テバク〜運命の瞬間〜』や2019年の『ヘチ　王座への道』では彼女の人物像が描かれています。これらの作品を通じて、宣懿王后の人生や権力闘争の様子が再解釈され、視聴者に伝えられています。

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