室戸 (給炭艦)

室戸（むろと）: 日本海軍の給炭艦の歴史

室戸（むろと）は、日本海軍で運用された給炭艦の中でも特に重要な存在でした。この艦は、室戸型給炭艦の1番艦として1918年に竣工し、艦名は室戸岬に由来しています。艦が運命を迎える1944年までの間、その歴史は波乱に富んでいました。

建造と初期の艦歴

室戸は1917年に始まる臨時軍事費を用いて建造され、三菱神戸造船所で竣工しました。最初は運送船としての役割を果たしましたが、1920年4月1日からは運送艦（給炭）として新たな任務に従事します。

1932年、第一次上海事変が勃発した際には、病院設備が臨時に設置され、支那方面への運送艦籍のまま進出しました。これは、病院船登録には多くの要件があったため、あくまで運送艦としての役割を続けました。この時の改装では艦型に若干の変化が見られ、同型艦の「野島」とは異なる特徴を持つことになりました。

日華事変と太平洋戦争

室戸は1937年からの日華事変にも参加し、病院船として活動。太平洋戦争が始まると、連合艦隊に加わりカムラン湾へ進出。1942年3月にはシンガポールにて「室戸病院」として病院船任務に就きました。この時期、スマトラへの給炭や真水の供給も行い、艦は積極的に戦争支援に関わりました。

その後、室戸は1942年6月に一度横須賀に帰港し、1943年3月まで北方方面で治療任務に従事。1942年10月から11月にかけて、航行不能となった駆逐艦「初春」を曳航するなどの任務もこなしました。

軍需品輸送と最期

1943年6月以降、室戸は上海、三亜、香港方面での軍需品輸送に従事しました。1944年8月からは沖縄への輸送任務にも参加し、その後の運命を刻むことになります。1944年10月21日、室戸はカタ916船団の一隻として鹿児島港を出港するものの、翌日の22日に米潜水艦「シードッグ」に雷撃されて沈没しました。

歴代艦長

室戸には数名の艦長が在任しました。任期中、艦は軍の重要な任務に参加し続け、多くの指揮官がその指導力を発揮しました。艦長の中には、七田今朝一、大佐や宮村吉通、中佐などが含まれ、艦の運営に尽力しました。

結論

室戸の歴史は、波乱に満ちた艦の運命と共に、日本海軍の激動の時代を体現しています。給炭艦としての役割を果たしただけでなく、戦争における医療支援にも多くの貢献をしましたが、最終的には505名の乗員と共に沈没の運命を迎えました。この艦の物語は、戦争の悲劇を如実に表しています。

もう一度検索