室町 (池田市)

大阪府池田市室町：日本の近代郊外住宅地の先駆け

大阪府池田市にある室町は、単独町名として、静かで落ち着いた住宅街として知られています。令和3年3月31日現在、世帯数740世帯、人口1,547人（男性684人、女性863人）が暮らしています。

阪急電鉄による先進的な住宅開発

室町の歴史は、1910年（明治43年）に阪急電鉄の前身である箕面有馬電気軌道による「池田室町住宅地」の開発に始まります。これは、鉄道会社による分譲住宅地としては日本初の試みであり、その後の私鉄経営モデルや阪神間モダニズムにも大きな影響を与えました。

当時、大阪は急激な産業発展により大気汚染や騒音などの公害問題が深刻化していました。この状況を打破すべく、箕面有馬電気軌道社長小林一三は、郊外居住の推進を提唱。室町住宅地は、その理想を実現するための実験場として開発されたのです。

緑豊かな環境と洗練された街並み

室町は、北摂山系の五月山を背景に、猪名川に挟まれた自然豊かな場所に位置しています。開発にあたっては、100～150坪の大区画に、木造住宅から個性的な注文住宅までが建てられ、通りごとに異なる表情を持つ街並みが形成されました。石垣や生垣が続く景観は、当時のモダンな住宅地の先進性を示しています。

小林一三は、単なる住宅地の開発にとどまらず、居住者の生活水準向上にも配慮しました。購買部（マーケット）や商店、公園、果樹園、社交倶楽部などを整備し、「模範的郊外生活」の実現を目指しました。居住者による「室町委員会」（後に「室町会」へ発展）も設立され、現在もコミュニティ活動が活発に行われています。2005年には「池田室町住民憲章」を制定し、その記念碑も建立されています。

地価とアクセス

室町の地価は高く、2023年1月1日時点の公示地価は、室町9-7の地点で29万5,000円/m2となっています。交通アクセスは、阪急宝塚本線池田駅から西へすぐという好立地です。

室町と池田市の発展

室町住宅地の成功は、池田市の発展に大きく貢献しました。小林一三自身の邸宅である雅俗山荘をはじめ、塩野義三郎など多くの実業家が邸宅を構え、高級住宅街としてのイメージが定着しました。その後、池田土地によって開発された満寿美住宅地（現・満寿美町）なども高級住宅地として高い評価を得て、池田市の住宅街としてのブランドを確立しました。

まとめ

室町は、単なる住宅地としてだけでなく、日本の近代郊外住宅地の歴史における重要な地点であり、都市計画や企業による住宅開発の先駆けとなった場所です。自然豊かな環境、洗練された街並み、そして活気あるコミュニティは、現在も多くの居住者を引きつけ、高い人気を誇っています。その歴史と文化、そして魅力的な街並みを、ぜひ訪れて体感してください。

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