宮ヶ瀬副ダム

宮ヶ瀬副ダム（みやがせふくダム）

宮ヶ瀬副ダムは神奈川県愛甲郡愛川町の半原地に位置し、中津川に建設された一級水系相模川水系のダムです。このダムは、一般に『石小屋ダム』と呼ばれることも多く、その名称は周辺の地域の古称に由来しています。ダム湖も石小屋湖という名前で親しまれています。

ダムの目的と機能

宮ヶ瀬副ダムの主な目的は、近隣にある宮ヶ瀬ダムと愛川第1発電所からの放流水の調整です。これにより、下流の急激な水位上昇を防ぐ機能がもたらされています。具体的には、洪水調整や不特定利水を行いながら、愛川第2発電所における小規模な水力発電も担当しています。また、相模川の城山ダム（津久井湖）への導水が円滑に行えるよう水位を確保する役割も担っています。

ダムは、宮ヶ瀬ダムから約800メートル下流に位置し、神奈川県立あいかわ公園からは徒歩で約10分で訪れることができます。独特な石垣風の堤体デザインが目を引き、観光放流の際には堤体全体からの美しい越流が楽しめます。

歴史的背景

宮ヶ瀬ダムの建設計画が始まったのは1971年（昭和46年）のことであり、その総貯水容量は約2億トンと、首都圏最大のダムとして知られています。しかし、ダムから直接放流すると水量が急増する危険が伴うため、その対策として副ダムの設置が必要とされました。これにより、増水した中津川の流量を調整し、下流の大規模な洪水を防ぎました。

宮ヶ瀬副ダムは、一般的に見られる10メートル程度の小規模な副ダムとは異なり、その堤高は34.5メートルもあります。この高さは河川法上のダムの定義に満たすものであり、通常のダムとして扱われる特異な存在です。そのため多目的ダムにおける副ダムが単独で運用される事例は、宮ヶ瀬副ダムが唯一であると言われています。両ダムは共に2000年（平成12年）に完成し、相互に重要な役割を果たすようになりました。

2019年の令和元年東日本台風の影響では、南側の高取山から落ちた土石流が石小屋湖に流れ込み、新たに扇状の半島が形成されるなど、自然の力を感じさせる出来事もありました。

外観の特徴

宮ヶ瀬副ダムの天端は橋のような形状をしており、周囲の建物も自然の岩を模したデザインになっています。このデザインは、かつてこの地域に存在した石小屋橋や中津川渓谷の景観を再現する意図が込められており、地域の歴史を思い起こさせる趣があります。また、自然景観に配慮されて作られているため、景観との調和もとれており、訪れる人々に印象深い体験を提供しています。

参考文献

• - 『ダム便覧 2006』：日本ダム協会。
• - 宮ヶ瀬ダム相模川水系広域ダム管理事務所：石小屋ダム

このように、宮ヶ瀬副ダムは地域の水利や洪水対策に欠かせない施設であり、自然環境とも美しく調和した存在となっています。

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