宮中・京中の式内社一覧

宮中・京中における式内社一覧：平安時代の祭祀と神社の考察

本稿では、『延喜式』神名帳に記載されている宮中・京中の式内社、および同帳に記載のない式外社について解説します。『延喜式』は平安時代中期に編纂された法典であり、その神名帳には当時の神社とその祭神が記録されています。宮中・京中とは、それぞれ平安宮（平安京大内裏）および平安京の中心地を指します。

式内社の分類

『延喜式神名帳』では、宮中に36座（大社30座、小社6座）、京中に大社3座が記載されています。これらの神社は、国家祭祀において重要な役割を担っていました。

宮中神（36座）

宮中36座は、平安京の大内裏内に祀られた神々です。その祭祀は、現在でも皇居内にある神殿（宮中三殿など）に継承されているものと、継承されていないものがあります。

1. 神祇官西院坐神（21座）

神祇官西院に祀られた21座の神々は、天皇の神棚とも言うべき位置付けにありました。しかし、皇祖神である天照大神は祀られていませんでした。これらの神々は、「御巫（みかんなぎ）」と呼ばれる巫女によって奉仕されていました。御巫には、大御巫、座摩巫、御門巫、生島巫の四種類があり、それぞれ異なる神々を奉仕していました。神祇官は中世に衰退し、消滅しましたが、明治維新後に皇居内で祭祀が継承されました。

2. 御巫祭神（8座）

大御巫によって奉仕された8座の神々は、霊魂、君臣関係、食物、言葉を司る神々です。鎮魂を目的とした神々として理解されています。これらの神々は、神祇官西院の八神殿に祀られ、高い神階を授かっていました。

3. 座摩巫祭神（5座）

座摩巫によって奉仕された5座の神々は、井水と敷地を守る神々です。宮所の守護神として位置づけられていました。座摩巫は、都下国造の娘が務めるという規定がありました。

4. 御門巫祭神（8座）

御門巫によって奉仕された8座の神々は、大内裏の四方の門を守る神々です。櫛石窓神と豊石窓神が、各門に祀られていたとされています。

5. 生島巫祭神（2座）

生島巫によって奉仕された2座の神々は、国土の霊神です。天皇による国土支配を象徴する存在でした。

6. 宮内省坐神（3座）

宮内省に祀られた3座の神々は、園池や疫病を防ぐ神々だとされています。

7. 大膳職坐神（3座）

大膳職に祀られた3座の神々は、食物、水、土器を司る神々です。

8. 造酒司坐神（6座）

造酒司に祀られた6座の神々は、酒造りに関係する神々です。

9. 主水司坐神（1座）

主水司に祀られた1座の神は、水を司る神です。

京中神（3座）

京中に祀られた3座の神々は、祝詞、卜占、そして後院を守る神々です。

1. 太詔戸命神

祝詞を司る神です。

2. 久慈真智命神

卜占を司る神です。

3. 隼神

後院を守る神です。現在では、梛神社の境内社として継承されています。

式外社

『延喜式神名帳』編纂当時には存在したものの、同帳に記載されていない神社です。

まとめ

本稿では、平安時代の宮中・京中における神社とその祭祀について概要を示しました。これらの神社は、当時の国家体制や信仰体系を理解する上で重要な役割を果たしており、歴史的・文化的に貴重な存在と言えるでしょう。今後、更なる研究と検証が必要となりますが、本稿がその一助となれば幸いです。

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