宮古街道

宮古街道について

宮古街道（みやこかいどう）は、岩手県の盛岡市と宮古市をつなぐ伝統的な街道で、別名「閉伊街道」とも呼ばれています。この道は、三陸海岸と内陸を結び、現代では国道106号とほぼ同じルートをたどっており、鉄道の山田線とも並走しています。

歴史

江戸時代、盛岡藩の時代において、宮古街道は藩の主要な交通路の一つとして利用されていました。盛岡城下町から海岸部の宮古間を結ぶこの道は、海産物を内陸へ運ぶ重要な流通ルートとしても機能していました。特に「五十集の道」として知られ、沿岸で集めた海産物を盛岡へ運び、帰りには米や雑穀などを積んで帰る流れが確立されていました。

盛岡城下から西へ進んだ鉈屋町で、遠野街道から分岐し、簗川を経由しながら区界峠を越え、閉伊郡に入りました。その後、閉伊川に沿って宮古に至るルートが確立されていきました。街道には起伏が多く、道筋は時代を経るごとに何度も変更・改修されてきました。特に、宝暦5年（1755年）頃からは牧庵鞭牛和尚によって平津戸と蟇目間の改修が行われ、その後も文政6年（1823年）には豪商藤田武兵衛によって新しい道の開削が行われました。

また、文化年間（1804-1817年）以降は異国船への防備のための改修工事も進められ、明治4年（1871年）には道路幅が拡張され、県道に指定されました。

五十集問屋

三陸沿岸で集荷された海産物は、五十集問屋によって盛岡へ供給されました。特に、盛岡城下の五十集問屋では、外部地域からの出入り口に集荷物の検査所が設けられ、ここで取引が行われていました。取引は定められた市日に行われ、現金での取引だけでなく、米や雑穀との交換も行われ、交易に伴う税率も設定されていました。

宿場・伝馬継所

この街道沿いには宿場や伝馬継所が点在しており、交通の要所として機能していました。たとえば、盛岡城下を出発点とし、築川、田代、門馬、平津戸、川内、箱石などの宿場がありました。さらに、蟇目や花原市、根城、田鎖、千徳、宮古などが宿場として機能していました。

互いに距離をおいて、これらの宿場は旅人の休息や物資補充の場となっていました。

現在の宮古街道

現在の宮古街道は、その歴史をしっかりと継承しつつ、益々重要な通りとなっています。かつての役割を引き継ぎながら、交通の要所としての役割を果たしています。この道を走ることは、ただの移動にと留まらず、岩手県の歴史や文化に触れ合う時間でもあります。

参考文献

• - 『岩手県史 第五巻 近世篇 2』岩手県、1963年1月30日。
• - 「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 3 岩手県』角川書店、1985年3月8日。
• - 細川計『街道の日本史 6 南部と奥州道中』吉川弘文館、2002年5月20日。

このように、宮古街道は単なる通行路ではなく、地域の歴史を証言する文化的な資源でもあります。

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