宮本久也

宮本久也氏は、1957年生まれの日本の教育者であり、現在は全国高等学校長協会事務局長を務めています。和歌山県出身で、和歌山県立那賀高等学校を卒業後、1980年に筑波大学第一学群人文学類（現：筑波大学人文・文化学群人文学類）を卒業しました。卒業後は、日本史の教員として都立高校の教壇に立ち、東京都教育庁指導部指導主事、同主任指導主事（高校改革担当）、都立学校教育部入学選抜担当副参事、指導部高等学校教育指導課長、指導企画課長などの要職を歴任しました。

2012年4月には東京都立西高等学校の統括校長に就任し、2015年から2018年3月まで全国高等学校長協会の会長を務めました。その他、全国普通科高等学校長協会理事長、中央教育審議会初等中等教育分科会臨時委員、文部科学省高大接続システム改革会議委員など、数々の審議会委員を兼任し、日本の教育改革に深く関わってきました。2018年4月からは東京都立八王子東高等学校の統括校長を務め、2023年4月より全国高等学校長協会事務局長に就任しました。

宮本氏は、東京大学先端科学技術研究センター先端教育アウトリーチラボ（AEO）アドバイザーや三菱みらい育成財団アドバイザリーボードメンバーも務めるなど、教育界における活動は多岐にわたります。

西高等学校校長時代には、ハーバード・ビジネス・スクールでの授業体験を取り入れたり、部活動を重視する取り組みを行ったりすることで、同校の人気を再燃させました。八王子東高校校長時代には、「探究」という独自の授業を導入し、学校の特色として打ち出しました。また、2019年6月からは八王子市消費者教育推進会議の一員も務めています。

大学入試改革においては、高校側を代表してシンポジウムなどに頻繁に登壇し、マスコミにも多くの発言が取り上げられました。特に、大学入学共通テストにおける記述式の導入や、英語民間試験の導入について、高校現場からの問題提起を行いました。

宮本氏は、大学入学共通テストについて、「これからの時代に求められる力を問う内容で意欲的だが、記述式問題を導入するとなると、様々な問題がある」と指摘し、採点方法やコスト、採点基準の公平性などの問題点を挙げています。また、新テスト対策の授業によって学校行事や部活動が犠牲になり、社会性や協調性を育てる「高校のもう一つの役割」が疎かになるのではないかと懸念を表明しています。

2019年10月21日に全国高等学校長協会が開催した緊急シンポジウム「英語4技能の民間資格試験は混乱なく実施できるのか」では司会を務め、「さまざまなことが分からない時点で実施された文科省の人数調査を、現場は『あてにならない』と考えている」と述べ、大学入学共通テストにおける英語民間試験の活用について強い懸念を示しました。

宮本氏は、教育に関する書籍も多数執筆しており、共著として『検証 迷走する英語入試』（岩波ブックレット、2018年）、『変革期の大学入試』（金子書房、2020年）、『再考　大学入試改革の論理』（金子書房、2023年）などがあります。また、論文も発表しており、コロナ禍における高等学校の教育活動に関する実践研究なども行っています。

このように、宮本久也氏は、長年にわたり日本の教育現場に携わり、教育改革や大学入試改革に積極的に貢献してきた、現代教育界において重要な人物の一人です。

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