宮本正太郎

宮本 正太郎

宮本 正太郎（みやもと しょうたろう、1912年12月1日 - 1992年5月11日）は、20世紀に活躍した日本の著名な天文学者です。特に惑星気象学という分野の草分けとして知られ、広島県に生まれました。

経歴

宮本正太郎は、旧制姫路高等学校で学び、1933年に卒業しました。その後、京都帝国大学理学部宇宙物理学科に進み、天文学者 荒木俊馬の指導を受けながら研究に励みました。1936年に同大学を卒業後、すぐに母校の講師として教壇に立ち、研究生活を開始します。

学識を深める中で、1943年2月には「電離理論による遊星状星雲の研究」という博士論文を提出し、京都大学より理学博士の学位を取得しました。同年7月には助教授へと昇進し、研究者としての地位を確立します。さらに1948年には教授に就任し、京都大学における天文学研究の中心的な役割を担うようになりました。

1958年には、京都大学附属花山天文台の台長を兼任し、観測設備の拡充や研究体制の整備に尽力しました。長年にわたり京都大学で教育と研究に従事した後、1976年3月に大学を定年退官しました。退官後も研究活動や著述活動を続け、1992年5月11日、79年の生涯を閉じました。

研究業績

宮本正太郎の研究は多岐にわたりますが、特に顕著な業績としては以下の点が挙げられます。

中性子星の研究: 1941年という早い段階で行われた中性子星に関する研究は、当時としては非常に先進的であり、黎明期におけるこの分野の先駆的な業績の一つとして特筆されます。
太陽コロナの温度測定: 太陽を取り巻く希薄な大気であるコロナが、内側の光球とは比較にならないほど高温であることは当時から知られていましたが、宮本正太郎は1942年に、その温度が驚くべきことに100万度（100万K）にも達するということを、世界で初めて科学的に実証しました。これは太陽物理学における重要な発見の一つです。
* 惑星気象学の開拓: 惑星の大気現象や気候を物理学的に研究する惑星気象学の分野を日本で切り拓き、その基礎を築きました。この功績により、「惑星気象学の開拓者」として広く認知されています。

顕彰

その天文学への多大な貢献を称え、国際天文学連合は2007年に、火星にある直径約150キロメートルの大型クレーターの一つに『Miyamoto』という名を冠しました。これは、彼の研究成果が国際的にも高く評価されていることの証と言えるでしょう。

著作活動

宮本正太郎は、専門的な研究論文だけでなく、天文学に関する多数の著作を残しています。専門家向けの教科書や研究書から、一般の読者にも分かりやすい入門書や啓蒙書まで、幅広い分野で執筆活動を行いました。これらの著作は、多くの人々に宇宙への関心を抱かせ、日本の天文学教育や普及に大きく貢献しました。主な著書には、『初等天文学』、『天文学概論』、『宇宙とは何か』、『惑星と生命』、『火星：赤い惑星の正体』などがあります。共著や編著、訳書も多数手掛けており、その精力的な著作活動は、日本の天文学界において特筆すべきものです。

宮本正太郎は、研究者としてだけでなく、教育者としても多くの後進を育て、日本の天文学の発展に重要な役割を果たしました。

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