宮本研

宮本研（みやもと けん）の業績と影響

宮本研は、1926年12月2日、熊本県宇土郡不知火町に生まれた劇作家である。彼の人生は、さまざまな経験に彩られており、それが彼の従事した演劇活動に深い影響を与えている。特に、中学時代に父の仕事の関係で北京に六年間住んでいたことは、彼の視点や作品に独自のものを持たせる要因となった。

彼は大分経済専門学校に通っている間に学徒動員され、その後九州帝国大学経済学部を卒業した。卒業後は、大分県の高校教師として教鞭を執り、その後上京。法務省に勤務する傍ら、労働者演劇サークル「麦の会」の助言者として活動を始め、演出や戯曲の執筆を行うようになる。1957年には処女作「僕らが歌を歌うとき」が発表され、社内の葛藤や希望を描くことで演劇界の注目を集めた。

彼の作品は、政治や社会への強い関心によって特色づけられている。彼は法務省勤務中に久保田万太郎と知り合い、その作品を高く評価されている。特に「日本人民共和国」や「メカニズム作戦」などにより、第8回の岸田國士戯曲賞を受賞した。このような評価を受け、彼は1962年に法務省を辞職し、職業の劇作家として新たな道を歩むことになる。

宮本の代表的な作品としては、戦後三部作や革命四部作が挙げられる。特に「反応工程」、「日本人民共和国」、「ザ・パイロット」は、革命党と民衆の間の矛盾を描いた作品であり、1970年代までの多くの作品も同様のテーマを扱っている。彼の初演「日本人民共和国」においては、劇の内容に反発した共産党員が次々と退席したというエピソードもあり、演劇が社会に与える影響の一端を示している。

1970年代後半以降、宮本の作品には新しい傾向が見られ始める。「からゆきさん」のように、男女の関係を指導者と民衆の関係に重ねて描くなど、女性の視点を取り入れることが多くなった。また、商業演劇の台本も手掛けるようになり、幅広いジャンルでの活動を展開していく。

彼は中国での少年時代からの思い入れがあり、「阿Ｑ外伝」や「夢－桃中軒牛右衛門の」など、中国と日本の相互関係を探求する作品も執筆した。その中で、文化大革命期には中国大使館からの干渉も受けたことがある。

1988年に肺ガンで逝去した宮本研は、彼の作品を通じて日本の演劇界に大きな影響を及ぼした。文学座や青年座といった新劇系劇団に作品を提供し続け、「変身」などの小劇場劇団とも関わりを持った。彼の作品は、今なお21世紀においても繰り返し上演されており、後世の劇作家や演劇人にとって重要な参考となっている。

主な作品

• - 「日本人民共和国」
• - 「メカニズム作戦」
• - 「明治の棺」
• - 「阿Ｑ外伝」
• - 「美しきものの伝説」
• - 「夢－桃中軒牛右衛門の」
• - 「花いちもんめ」
• - 「ブルーストッキングの女たち」
• - 「うしろ姿のしぐれてゆくか　漂泊の俳人 種田山頭火」

彼の作品は、日本劇作家協会のオンデマンド出版でも入手可能であり、後世の演劇教育にも寄与し続けている。

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