宮様スキー大会

宮様スキー大会国際競技会

宮様スキー大会国際競技会は、毎年3月初旬に北海道札幌市で開催される、国際スキー連盟（FIS）公認の総合的なスキー競技会です。日本の冬季スポーツ界における長い歴史を持ち、最大の特色として、各種目の優勝者には皇族の方々から栄誉ある優勝杯が下賜されるという伝統があります。スペシャルジャンプ、クロスカントリースキー、アルペンスキー、ノルディック複合、フリースタイルスキー、バイアスロンといった多岐にわたる競技が実施されます。

大会の始まりは、北海道でスキーが紹介されてからおよそ20年後の1928年（昭和3年）に遡ります。この年、秩父宮雍仁親王が北海道をご訪問になり、12日間の滞在中に8日間をスキー関連の活動に費やされました。親王は北海道がスキーの普及と発展に適していることを確信され、その振興のための施設整備などを提言されました。当時、スキーはまだ一部の富裕層の趣味と見なされがちな状況でしたが、皇族からのこうした力強い奨励は、北海道のスキー関係者にとって大きな励みとなりました。この流れを受け、開催の約2ヶ月前に結成された札幌スキー連盟が中心となり、1930年（昭和5年）に「秩父宮殿下高松宮殿下御来道記念大会」として、記念すべき第1回大会が開催されました。これが宮様スキー大会の起源です。

初期の大会運営では、一般市民へのスキー普及と幅広い層の参加を重視しました。そのため、第3回大会までは、数週間にわたって日曜日にのみ競技を行うという変則的な日程が組まれ、大会期間中には「みかん拾い」や「花火大会」といった、市民が気軽に親しめるようなプログラムも企画されました。

第3回大会からは、秩父宮殿下の助言を得た実業家・大倉喜七郎氏によって建設された大倉山ジャンプ競技場（通称・大倉シャンツェ）が、ジャンプ競技の主要な舞台として使用されるようになりました。大倉山は、日本のスキージャンプにおける最高峰の会場の一つであり、宮様スキー大会もまた国内ジャンプ競技の記録更新の場として知られるようになりました。例えば、1939年（昭和14年）の第10回大会では、浅木文雄選手が戦前の日本記録となる79メートルを飛躍しています。

第二次世界大戦の影響により、多くのスポーツイベントが中断を余儀なくされましたが、宮様スキー大会は戦時下でも細々と継続されました。1944年（昭和19年）の大会は、戦技スキー訓練のみに内容を変更し、競技形式ではない変則的な形で実施されました。

戦後、大会は比較的早く元の姿を取り戻しました。1948年（昭和23年）からは、秩父宮殿下からジャンプ競技の優勝者に秩父宮杯が、高松宮殿下から長距離競技（現在のクロスカントリースキー）の優勝者に高松宮杯が贈られるようになり、その後、他の宮家からも優勝杯が下賜される種目が次第に増加していきました。

札幌で冬季オリンピックが開催された後の1974年（昭和49年）には、国際スキー連盟（FIS）の公認競技会に指定され、国際大会としての地位を確立しました。これにより、国内外の有力選手が集まるハイレベルな大会へと発展していきました。

現在、この大会で実施されている競技は多岐にわたります。スペシャルジャンプでは、寬仁親王牌男子ノーマルヒルや秩父宮杯男子ラージヒル、女子ノーマルヒル・ラージヒルが行われます。クロスカントリースキーでは、常陸宮妃杯女子5kmクラシカルや常陸宮杯男子10kmクラシカル、桂宮牌女子10kmフリー、高松宮杯男子15kmフリーなどがあります。ノルディック複合は三笠宮杯ノーマルヒルジャンプ/10kmクロスカントリーが実施されます。アルペンスキーでは、三笠宮妃杯男子ジャイアントスラローム、秩父宮妃牌女子ジャイアントスラローム、高円宮杯男子スラローム、高円宮妃杯女子スラロームが行われます。フリースタイルスキーでは、彬子女王杯男子モーグルや瑶子女王杯女子モーグルが開催され、バイアスロンには、寛仁親王牌・寛仁親王妃牌リレーや常陸宮杯個人種目（競技銃・一般銃）が含まれます。また、競技とは別に市民参加型の宮様スキーパレード（歩くスキー）も行われています。

大会の運営は、公益財団法人札幌スキー連盟、公益財団法人北海道スキー連盟、公益財団法人全日本スキー連盟などが共催し、北海道や札幌市、様々なスポーツ協会、報道機関などが後援・協力しています。特に陸上自衛隊北部方面隊は、会場設営やコース整備などで長年にわたり大会を支えています。

近年の出来事としては、2016年（平成28年）の大会期間中、参加していた彬子女王の近くで不審な破裂音が発生するという事案がありましたが、女王にご怪我はありませんでした。また、令和最初の開催として準備が進められていた2020年の大会は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の懸念を受け、残念ながら中止となりました。

宮様スキー大会国際競技会は、日本のスキー史において重要な役割を果たし、皇室との深い関わりを持つ独自の大会として、冬季スポーツの普及と競技水準の向上に貢献し続けています。

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