宮津港

宮津港：歴史と自然が織りなす、京丹後の要港

宮津港は、京都府宮津市に位置する、歴史と自然が調和した重要な港湾です。京都府が管理する地方港湾であり、特定港、甲種港湾にも指定されています。若狭湾西部に広がる宮津湾に面し、日本三景の一つである天橋立によって隔てられた阿蘇海もその港湾区域に含まれています。リアス式海岸の奥まった場所に位置する良港として、古くから発展を遂げてきました。

江戸時代からの歴史と、近代化への歩み

江戸時代には宮津藩の重要な港として栄え、西廻海運の寄港地としても賑わいました。太平洋戦争中には、大江山鉱山で採掘されたニッケル鉱石を製錬する岩滝製錬所の開設に伴い、朝鮮半島や九州などから大量の資材が宮津港に運び込まれました。戦後、1950年には地方港湾に指定され、1953年には京都府が港湾管理者となりました。鉱山は閉山したものの、製錬所（現在の日本冶金工業大江山製造所）は操業を再開し、現在もニューカレドニアなどから輸入されるニッケル鉱石を扱う重要な拠点となっています。1972年から1981年にかけては鶴賀地区の再開発が行われ、埠頭の拡張・整備が進められました。

活況を呈する港湾機能

2015年度の統計では、104隻（375,179総トン）の船舶が発着し、そのうち外航商船は21隻（333,716総トン）を数えました。宮津湾入口付近の田井には、海の駅にも登録されている田井宮津ヨットハーバーがあり、「みなとオアシスたいみやづ」の中核施設として、観光客にも親しまれています。

日本冶金工業大江山製造所へは、ニッケル鉱石や石炭などのばら積み貨物が運ばれますが、製造所が阿蘇海の奥まった場所にあるため、沖止めを行い、グループ会社の宮津港運が運航するはしけで荷役が行われています。丹後海陸交通は、港内で観光船を運航するほか、舟屋で有名な伊根町への観光航路も季節運航しています。天橋立への観光航路は、宮津桟橋、天橋立桟橋、一の宮桟橋を結び、平日30分間隔、休日には20～30分間隔で運航され、観光客のアクセスを支えています。伊根航路は、宮津桟橋、天橋立桟橋、伊根、日出を結び、観光シーズンには1日1往復の運航が行われています。

多様な地区と充実した港湾施設

宮津港は、大型船が接岸可能な岸壁を備える鶴賀地区のほか、島崎地区、文殊地区、須津地区、漁師地区、獅子地区、江尻地区、日置地区など、複数の地区に分かれています。鶴賀地区には、-5.0m岸壁（148.6m、55.1m）や-5.5m岸壁（132.2m）、-4.5m岸壁（110.0m）など、様々な規模の岸壁が整備され、多様な船舶に対応できるようになっています。

宮津港は、歴史的背景、地理的条件、そして現代の産業と観光を融合させた、活気あふれる港湾です。今後も、地域経済の活性化と観光振興に大きく貢献していくことでしょう。

もう一度検索