地方港湾

地方港湾とは

地方港湾とは、日本の港湾法において、重要港湾以外の港湾を指す区分です。2017年4月1日現在、全国に808港が存在しています。1950年の港湾法制定時に、地方港湾の制度が設けられました。

地方港湾の役割

重要港湾が国際・国内海上輸送網の拠点として位置づけられているのに対し、地方港湾は、地域における海上交通拠点としての役割が中心です。ただし、港湾整備の優先順位は重要港湾よりも低く、整備費用に対する国庫補助金の割合も低く設定されています。

地方港湾に求められる港湾施設は明確に定められているわけではありませんが、係留施設を見ると、水深-4.5mを超える岸壁よりも、水深-4.5m未満の物揚場が主流となっています。

地方港湾の中には、湖や河川に所在するものも存在します。例えば、湖では十和田湖沿岸の子ノ口港や休屋港、猪苗代湖沿岸の翁島港や湖南港、琵琶湖沿岸の大津港や長浜港などが挙げられます。また、河川では利根川沿岸の潮来港や軽野港、宇治川沿岸の伏見港などがあります。

法制上の区分

地方港湾の中には、法制上特定の機能や位置づけがなされているものがあります。

避難港：暴風雨の際に小型船舶が避難のために停泊することを目的とした港湾です。防波堤などの外郭施設の整備に国の支援が手厚く、全国に36港あります。そのうち35港が地方港湾です。

56条港湾：港湾区域が設定されておらず、都道府県知事が水域を公告した港湾です。地方港湾の中でも特に小規模なものや、将来的な開発が見込まれるものが該当し、全国に61港あります。

地方港湾が抱える課題

地方港湾の中には、フェリーや定期貨物便の寄港地として地域の海上交通を支えている港湾もありますが、実際には旅客船や貨物船の入港が少なく、漁船の利用が中心となっている港湾も多く存在します。つまり、海上交通拠点というよりも、実質的に漁港として利用される傾向が強いという課題があります。

この背景には、港湾法制定時に、漁港よりも港湾の方が国庫補助金による整備がしやすかったという事情も指摘されています。

統合への動き

このような状況の中、大分県では2006年に、市町村合併を機に東国東郡内の8つの地方港湾を国東港という一つの港湾に統合しました。これは、地方港湾の統合の初の事例であり、国土交通省も地方港湾の統合を推進しています。市町村合併の動きに合わせて、地方港湾の統合も進んでいます。その結果、地方港湾の数は2005年度当初の951港から、2009年4月までに約8%減少しています。

まとめ

地方港湾は、地域における重要な海上交通拠点であり、漁業活動を支える役割も担っています。しかし、港湾としての機能が十分に活用されていない、または漁港としての利用が中心になっているという課題を抱えています。今後は、地方港湾の統合や機能の再編を通じて、より効率的な港湾運営が求められると考えられます。

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