宮津純一郎

宮津純一郎：NTTのデジタル化を牽引した経営者

宮津純一郎（みやづ じゅんいちろう）は、1936年1月2日生まれの実業家で、第4代日本電信電話（NTT）代表取締役社長を務めました。父は東北大学や東京大学で教鞭をとった宮津純です。

生い立ちとNTT入社

東京都出身の宮津は、東京大学工学部電気工学科を卒業後、1958年に日本電信電話公社に入社しました。技術畑を歩み、総裁室企画室次長などを経て、民営化後のNTTでは、経営企画本部経営計画部長、ネットワーク事業本部長、ネットワーク高度化推進本部長を歴任し、1992年に副社長に昇格しました。

NTT社長として

1996年6月、宮津はNTTの社長に就任しました。当時、ITバブルの最盛期であり、Windows 95の登場を背景にインターネットが急速に普及していました。宮津は、ダイヤルアップ接続サービスの“OCN”を開始するなど、通信網のデジタル化戦略を積極的に推進しました。「もはや電話屋ではない」という言葉は、NTTの収益構造の転換を目指す彼の姿勢を象徴しています。

しかし、社長在任中には難題もありました。政府がNTTの分割問題を検討しており、結論の先送りが許されない状況でした。分割に反対していた前社長の児島と、分割を求める郵政省との対立が激化する中、宮津は政府との交渉に臨み、最終的に純粋持株会社の下に東日本、西日本、長距離の3社に分割する案に合意しました。もっとも、NTTの完全分割（資本分離）には否定的であり、グループ全体の合理化策を進めるには、グループ全体のメリットを考慮する必要があると主張しました。

人物像

宮津は、独特な「べらんめえ」調の語り口で知られ、誰に対しても気さくに接する人柄で、社内外に多くのファンがいました。1990年代末には、ISDNによる定額制インターネット料金を「高すぎる」と批判したソニー社長（当時）の出井伸之との間で舌戦を繰り広げ、注目を集めました（その後、ADSLの普及と価格競争により低廉化が進みました）。

退任後

2002年にNTT社長を退任し、2004年まで相談役を務めました。その後、2006年3月からは社団法人 電気通信協会の会長を務めました。2013年11月には、旭日大綬章を受章しています。

宮津純一郎は、NTTのデジタル化を推進し、分割問題という難局を乗り越えた経営者として、その功績は高く評価されています。

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