宮澤健太郎

宮澤 健太郎

概要

宮澤 健太郎（みやざわ けんたろう）は、1980年7月26日生まれ、長野県出身の元社会人野球選手です。主に内野手としてプレーし、特に三塁手として活躍しました。彼の野球人生において特筆すべきは、社会人野球の主要三大会である都市対抗野球、社会人野球日本選手権大会、JABA東京スポニチ大会において、戦後ではただ一人となる首位打者をそれぞれ獲得するという、歴史的な偉業を達成している点です。

来歴

アマチュア時代

長野県の岡谷南高校時代は、3年次の夏に県予選でベスト16に進出しましたが、甲子園には届きませんでした。

高校卒業後は、東京六大学野球の名門である明治大学に進学し、硬式野球部に入部します。しかし、当時の明治大学は選手層が非常に厚く、宮澤氏は当初、レギュラーとして試合に出場する機会に恵まれませんでした。それでも、日々の練習に真摯に取り組み、徐々に実力を向上させていきました。その努力が実り、最終学年である4年時にはチームの主将という重責を任されるまでになります。この最終シーズンで才能が開花し、春季リーグ戦では攻守にわたってチームを牽引。見事ベストナイン（三塁手）に選出されるとともに、打撃面でも最高打率を記録し、首位打者のタイトルを獲得しました。

社会人野球時代

大学卒業後、2003年に社会人野球の強豪チームである新日本石油（後にJX-ENEOS、現ENEOS）に入団します。ここでも、多くの実力者が集まるチームの中で、出場機会を掴むために激しい競争に身を置くことになります。地道な努力を重ね、少しずつ試合での出場機会を増やしていきました。

入団3年目の2005年には、所属チームではありませんでしたが、東芝の補強選手として初めて社会人野球最大の祭典である都市対抗野球大会の舞台を経験します。

翌2006年、後にチームの黄金期を築くことになる大久保秀昭氏が監督に就任するのに伴い、宮澤氏はチームの主将に抜擢されます。この重責を2012年まで、実に7シーズンにわたって務め上げました。キャプテンとしてチームをまとめ上げ、グラウンド内外で強いリーダーシップを発揮しました。この主将在任期間中に、チームは都市対抗野球大会で二度の全国制覇（黒獅子旗獲得）という偉業を達成しています。栄光の黒獅子旗を主将として二度掲げたのは、ENEOS野球部の歴史上、宮澤氏ただ一人です。チームの精神的支柱として、また確かな実力を持つ選手として、チームを牽引し続けました。

ポジションは主に三塁手として堅実な守備を見せる一方、打撃では勝負強いバッティングを武器に、主に得点につながる重要な役割を担う6番打者としてチームを牽引しました。

日本代表での活躍

宮澤氏は国内だけでなく、国際舞台でもその能力を発揮しました。2009年には社会人選抜の日本代表に選出され、第25回アジア野球選手権大会ではチームの主将を務めました。主将としてチームをまとめ上げ、見事優勝に導き、自身も三塁手として優秀選手に選ばれています。同年に行われた第38回IBAFワールドカップでも日本代表の主将を務め、チームを牽引しました。

引退、そして指導者へ

2013年シーズンをもって現役生活にピリオドを打ち、その後は会社の業務に専念しました。しかし、再び野球の現場に戻り、ENEOS野球部でヘッドコーチとして後進の指導にあたります。そして、その手腕と経験が高く評価され、2024年12月1日付けで、ついにENEOS野球部の新監督に昇格することが発表されました。

主な表彰・タイトル

社会人野球選手として、数々の栄誉を獲得しています。

社会人ベストナイン（三塁手）：2回（2008年、2012年）
第79回都市対抗野球大会：首位打者賞、優秀選手（三塁手）（2008年）
第84回都市対抗野球大会：優秀選手（三塁手）（2013年）
第35回社会人野球日本選手権大会：優秀選手（三塁手）（2008年）
第37回社会人野球日本選手権大会：首位打者賞、優秀選手（三塁手）（2010年）
第38回社会人野球日本選手権大会：優秀選手（三塁手）（2012年）
第68回JABA東京スポニチ大会：首位打者賞（2013年）
第25回アジア野球選手権大会：優秀選手（三塁手）（2009年）

これらのタイトルからもわかるように、宮澤健太郎氏は選手として攻守にわたり傑出した能力を持ち、特にその勝負強い打撃で多くの栄誉を掴みました。特に、戦後唯一の3大大会首位打者という記録は、社会人野球史に燦然と輝く金字塔と言えるでしょう。長きにわたりチームの主将を務め、日本代表でもリーダーシップを発揮した経験は、今後の監督としての手腕に期待を抱かせます。

もう一度検索