宮町遺跡

宮町遺跡：聖武天皇の紫香楽宮、その謎を解き明かす古代宮殿跡

滋賀県甲賀市信楽町宮町に位置する宮町遺跡は、奈良時代に聖武天皇が造営したとされる紫香楽宮（信楽宮、甲賀宮とも呼ばれる）の遺構として注目を集める古代宮殿遺跡です。国の史跡「紫香楽宮跡」の一部として指定されており、日本の古代史研究において重要な役割を担っています。

遺跡発見と発掘調査

宮町遺跡の存在が明らかになったのは、1980年代のことです。圃場整備事業中に偶然発見された柱根や遺物がきっかけとなり、本格的な発掘調査が開始されました。地元住民が保管していた柱の年輪年代測定の結果、天平14年から15年（742年から743年）に伐採された木材であることが判明。この発見により、宮町遺跡が紫香楽宮跡の有力候補地として脚光を浴びることとなりました。

それ以前は、内裏野地区が紫香楽宮跡とされていましたが、宮町遺跡の発掘調査によって、その認識が大きく変わることに。2000年の調査で中心部に巨大な建物跡が確認されたことで、宮町遺跡こそが紫香楽宮の宮殿部分であるという説が有力となりました。現在では、内裏野地区は聖武天皇の大仏造立に伴い建立された甲賀寺（甲可寺）跡とする見方が主流となっています。

紫香楽宮の全貌に迫る

宮町遺跡の発掘調査は、紫香楽宮跡全体の理解を深める上で大きな貢献を果たしました。宮町遺跡の確認と同時期に、周辺では新宮神社遺跡や鍛冶屋敷遺跡なども発見され、紫香楽宮跡周辺の再調査が活発化しました。発掘された遺物を展示する資料室も開設され、遺跡の保存と公開にも力が入っています。

しかし、新名神高速道路建設の影響で、朱雀大路にかかっていた橋の遺構は失われてしまったことも事実です。このことは、古代都市の開発と歴史保存の課題を改めて浮き彫りにしました。

宮町遺跡の意義

宮町遺跡は、単なる古代宮殿跡ではありません。日本の古代政治、文化、社会構造を解明する上で貴重な情報を提供する遺跡であり、その歴史的・学術的価値は計り知れません。発掘調査で得られた知見は、紫香楽宮の規模や構造、当時の生活様式など、様々な謎を解き明かす重要な手がかりとなっています。

今後も継続的な調査と研究を通して、宮町遺跡が秘める古代の謎が少しずつ解き明かされていくことでしょう。その過程は、日本の歴史を深く理解し、未来へ繋げる上で欠かせないものです。

関連施設

奈良文化財研究所
甲賀市教育委員会
* 資料室（内裏野地区）

宮町遺跡は、単なる遺跡ではなく、古代日本の歴史を体感できる貴重な場所です。訪れる際には、その歴史的意義を理解し、未来へと繋げるためにも、適切な見学マナーを守りましょう。

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