宮脇千鶴

宮脇千鶴

宮脇千鶴氏は、1976年6月18日に大分県で生まれた、日本の才能あるアニメーター、演出家、そしてアニメ監督です。

経歴

嵯峨美術短期大学でビジュアルコミュニケーションデザインを学び、1997年に卒業後、アニメーション業界へと足を踏み入れました。同年より放送が始まったテレビアニメ『金田一少年の事件簿』の第37話に原画として参加したのが、彼女のキャリアにおける最初の記録となります。初期は主に原画マンとして、数多くの作品でその技術を発揮しました。

特に彼女のキャリアを象徴するのが、国民的な人気を博した『銀魂』シリーズへの貢献です。2005年に公開されたジャンプフェスタのオリジナルアニメ『何事も最初が肝心なので多少背伸びするくらいが丁度良い』に原画として参加したのを皮切りに、テレビシリーズ、劇場版、OVAを含むシリーズ全体に、実に15年間という長きにわたり深く関わりました。彼女自身は、初めて原作に触れた際に「ちょっと変わったマンガだな」という印象を持ったといいます。テレビシリーズ『銀魂（第1期）』のスタート時には、第1話で作画監督の一人を務め、その後も原画や作画監督として作品を支えました。『銀魂'（第2期）』の第202話からは絵コンテや演出を手掛けるようになり、制作の中枢に関わるようになります。そして、『銀魂゜（第3期）』の第266話からは、前任の藤田陽一氏の後を受け、シリーズの監督として作品全体の指揮を執るようになりました。

監督としての活動

監督としてシリーズを牽引した宮脇氏は、『銀魂』の集大成となる劇場版『銀魂 THE FINAL』でも監督と脚本を担当しました。この最終章の制作にあたっては、テレビシリーズ初代監督で音響監督を務める高松信司氏や、監修として参加した藤田陽一氏といった、これまでのシリーズを支えてきた面々と連携しながら制作を進めました。特に絵コンテは藤田氏と共同で作成しています。劇場版完成前のダビング作業中に、高松氏が「本当に完成するのか？」と心配する一幕もあったそうですが、完成試写会では高松氏が真っ先に拍手を送り、宮脇氏に賛辞を送ったというエピソードも伝えられています。宮脇氏自身も、藤田氏から受け継いだ「クソ重たいバトン」を最後まで落とさずに走り切れた、と述べています。また、原作漫画が雑誌連載からアプリへと移行する時期にアニメ化企画が持ち上がった際、「最後の話は映画しかないでしょう！」と宮脇氏が強く提案したことが、『銀魂 THE FINAL』が劇場版として制作される大きな契機の一つとなったことも知られています。

『銀魂』以外での活動としては、『銀魂』初代監督である高松信司氏が手掛けたオリジナルアニメ『美男高校地球防衛部LOVE!』シリーズへの参加が挙げられます。同作では副監督やデザインコンセプトを担当し、『美男高校地球防衛部HAPPY KISS!』ではキャラクター原案も務めました。高松氏の「なんかいい感じに描いて」という依頼に、期待通りの「いい感じ」で応えたと語られています。近年では、ファンタジー作品『後宮の烏』（2022年）や、オリジナルSFコメディ『月刊モー想科学』（2024年）で監督を務めるなど、活躍の幅を広げています。

人物

子供の頃から、日本サンライズ（現：サンライズ）制作のロボットアニメ『戦闘メカ ザブングル』がお気に入りの作品だとしています。また、『銀魂゜』での仕事を通じて、文化放送で『裏方ラジオ』のパーソナリティを務める脚本家の松原秀氏と交流が生まれました。

長年にわたる原画、作画監督、演出としての経験を基盤に、『銀魂』シリーズという大作を監督として締めくくり、現在はオリジナリティあふれる作品を含む様々なアニメーションの指揮を執る宮脇千鶴氏は、アニメ業界において今後も注目の存在です。

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