聖護院大根

聖護院大根（しょうごいんだいこん）

聖護院大根は、京都を代表する伝統野菜の一つで、「京の伝統野菜」および「ブランド京野菜」に指定されています。その特徴的な丸い形状と、煮崩れしにくい肉質から、京都の冬の食卓には欠かせない食材として親しまれています。

特徴

聖護院大根は、短く丸い形状が特徴で、地表に出る部分は淡い緑色をしています。カブのように丸く成長し、一般的なサイズは直径15～20cm、重さ1.5～2kgほどになりますが、中には3～4kgにもなる大型のものも存在します。収穫時期は10月下旬から2月下旬で、早生系統はやや小ぶりです。また、品種改良されたものは広く栽培されており、特に淀地域で栽培されるものは「淀大根」として知られています。

この大根は、煮崩れしにくく、甘みが強く苦味が少ないため、煮物やおでんなどの煮込み料理に最適です。また、京漬物の大根漬けに使用すると、宮重大根よりも柔らかく仕上がるため、好みに応じて使い分けられます。京都の千本釈迦堂では、冬の風物詩である大根焚きにも用いられています。

歴史

聖護院大根の起源には、次のような伝承があります。文政年間（1816年～1830年）に、尾張国（現在の愛知県西部）から金戒光明寺に奉納された大根を、現在の左京区聖護院に住む農家が譲り受け、栽培を重ねるうちに現在の短く丸い形状の聖護院大根が生まれたとされています。このことから、原種は尾張国の宮重大根であると考えられています。

栽培と産地

聖護院大根の種は、種子消毒されたものが市販されています。栽培方法としては、早生種は7月下旬から8月頃に種をまき、10月下旬から11月にかけて収穫します。冬どり種は9月に種をまき、12月から2月にかけて収穫します。畑は深く耕し、平畝を作り、畝の中央に溝を切って、種を1箇所あたり5粒ずつ直まきします。発芽後は、間引きをしながら育てていきます。本葉が2枚の頃に1回目、5～6枚の頃に2回目の間引きを行い、最終的に1本だけを残します。2回目の間引き後は、生育状況を見ながら追肥と土寄せを行い、首の部分が地面から出て直径15cm以上になったら収穫します。

主な産地は京都府内の城陽市、久御山町、亀岡市などですが、近年では岩手県から大分県まで、日本各地で栽培されています。

聖護院大根は、その独特の形状と味わいから、京都の食文化を語る上で欠かせない存在となっています。煮物やお漬物など、様々な料理でその魅力を堪能してください。

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