家に帰ろう (マイ・スイート・ホーム)

竹内まりやの通算21枚目となるシングル「家に帰ろう (マイ・スイート・ホーム)」は、1992年 11月10日に当時のMMG（現ワーナーミュージック・ジャパン）から発表されました。この楽曲は、同年の約1か月前に発売され高い評価を得ていたアルバム『Quiet Life』から選ばれてシングルカットされたものです。

楽曲とその背景

表題曲「家に帰ろう (マイ・スイート・ホーム)」は、TBS系列で放送されたテレビドラマ「木曜日の食卓」の主題歌として書き下ろされました。温かいメロディと心に染みる歌詞が、多くの視聴者の共感を呼びました。発売後もその人気は衰えず、東京ビューティー・センターをはじめ、1994年の日産自動車「セフィーロ」、大阪ガス「エコウィル」、そして2011年には三菱地所レジデンスといった、様々な企業や商品のCMソングとして繰り返し採用され、長期にわたり親しまれる楽曲となりました。作詞・作曲は竹内まりや自身が手掛け、編曲は山下達郎が担当しています。

この楽曲のレコーディングには、山下達郎（エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、12弦エレクトリック・ギター、グロッケン、パーカッション、バッキング・ボーカル）の他、青山純（ドラムス）、伊藤広規（エレクトリック・ベース）、難波弘之（エレクトリック・オルガン）といった、当時山下達郎のライブ活動を支えていた著名なミュージシャンたちが参加しています。さらに、浜口茂外也（パーカッション）や村田和人（バッキング・ボーカル）も名を連ね、楽曲に深みを与えています。

特徴的なビデオクリップ

1993年、「家に帰ろう (マイ・スイート・ホーム)」が収録されたアルバム『Quiet Life』が「第35回日本レコード大賞」でベストアルバム賞を受賞した際、授賞式のために特別に制作されたこの曲のフルサイズビデオクリップがテレビ放送されました。このフルバージョンが公式に放送されたのはこの一度きりであり、その後の映像作品（例えば『souvenir the movie 〜MARIYA TAKEUCHI Theater Live〜 (Special Edition)』）にも未収録という、非常に貴重な映像となっています。このビデオクリップには、前述のレコーディングメンバーの一部（青山純、伊藤広規、難波弘之、山下達郎）が出演し、スタジオでの演奏風景が収められています。特に、山下達郎が映像に姿を見せること自体が珍しく、このビデオはその数少ない機会の一つです。ただし、彼の顔は帽子を深く被ったり逆光を利用したりすることで、はっきりと映らないように配慮されています。

オリジナル・カラオケの収録状況

興味深い点として、シングル発売当時の8cmCDにはオリジナル・カラオケが収録されていませんでした（同時発売されたシングル・カセットにはA面とB面の両方にカラオケバージョンが含まれていました）。CD形態で初めてこの楽曲のオリジナル・カラオケが収録されたのは、シングルの発表から16年後の2008年に発売されたベストアルバム『Expressions』の初回限定盤に同梱された特典ディスク「ベスト・オブ・オリジナル・カラオケ」においてでした。また、『Expressions』の発売に合わせて開設された特設ウェブサイトでは収録曲のビデオクリップが公開されましたが、「家に帰ろう」のビデオはラインナップに含まれませんでした。

カップリング曲「THE CHRISTMAS SONG」

シングルのカップリングに収められた「THE CHRISTMAS SONG」もまた、特筆すべき楽曲です。これは1944年にアメリカの音楽家メル・トーメとボブ・ウェルズによって作詞・作曲された、ジャズスタンダードであり、今日ではクリスマスの定番曲として世界中で親しまれています。これまで多くのアーティストによってカバーされており、本作では服部克久が編曲を手掛けています。レコーディングには、服部隆之（コンダクター）をはじめ、篠崎正嗣（ストリングス・コンサートマスター）、藤田乙比古、阿部雅人（ホルン）、菅坡雅彦、横山均（フリューゲルホルン）、中谷望（フルート、ピッコロ）、松本敦史（オーボエ）、朝川朋之（ハープ）、金山功（グロッケン、ティンパニー）、松木恒秀（エレクトリック・ギター）、斉藤誠（ウッドベース）、難波弘之（アコースティック・ピアノ）といった多彩なプレイヤーが参加し、壮大かつ温かいサウンドを作り上げています。

商業面では、このシングルは累計で10.2万枚の売上を記録し、竹内まりやのヒット曲の一つとなりました。オリジナルのシングル以外にも、ベストアルバム『Impressions』、『Expressions』、ライブアルバム『Souvenir〜Mariya Takeuchi Live』（ライブバージョン）など、様々なアルバムに収録されており、多くのファンにとって馴染み深い一曲となっています。また、2002年にはアン・ウィルソンがコンピレーションアルバム『Sincerely...〜Mariya Takeuchi Songbook〜』でこの楽曲をカバーするなど、海外のアーティストにも影響を与えています。

もう一度検索