家へ帰ろう (ザ・キング・トーンズの曲)

家へ帰ろう（うちへかえろう）

「家へ帰ろう」は、日本のコーラスグループ、ザ・キング・トーンズが1969年3月21日に日本グラモフォンからリリースした、彼らにとって通算3枚目となるシングルレコードです。

A面：家へ帰ろう

この楽曲の最も特徴的な点は、楽曲の冒頭を飾る前奏部分にあります。そこでは、チェコの作曲家アントニン・ドヴォルザークが作曲した交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」の第2楽章アダージョから引用された、通称「家路」として多くの人々に親しまれている美しい旋律が効果的に用いられています。望郷の念を思わせるこのメロディが、楽曲全体に独特の哀愁と情感を与えています。

「家へ帰ろう」の作詞は、大日方俊子が担当しました。作曲と編曲は、早川博二が手がけています。

発表から時間が経過した後も、この楽曲はザ・キング・トーンズの重要なレパートリーとして、様々な形で改めて取り上げられています。

1987年の新アレンジ版: 1987年にリリースされたアルバム『GOOD NIGHT BABY 1987』には、荒川達彦による新たなアレンジが施されたバージョンの「家へ帰ろう」が収録されています。このバージョンは、オリジナルシングルとは異なるサウンドアプローチで楽曲の魅力を引き出しています。
1992年のライブ演奏: 1992年4月6日にCS放送WOWOWで放送されたスタジオライブ音楽番組シリーズ『THE RECORDING』でも、本楽曲が披露されました。この時の演奏は、キーボーディストの井上鑑がリーダーを務めるMASTERS BANDによるものでした。MASTERS BANDは、村上ポンタ秀一（ドラムス）、大村憲二（ギター）、高水健司（ベース）、中西康晴（キーボード）といった日本のトップミュージシャンによって構成されており、彼らの卓越した技術と井上鑑のアレンジによって、本楽曲はまた新たな解釈のもとで蘇演されました。

これらのバージョンは、「家へ帰ろう」という楽曲が持つ普遍的なメロディとテーマが、時代やアレンジの変化にも耐えうる強度を持っていることを示しています。

B面：さよなら友達

本シングルのカップリング曲は、「さよなら友達」です。この楽曲の作詞は橋本淳、作曲および編曲は鈴木邦彦がそれぞれ担当しました。

「さよなら友達」は、本シングルに収録された後、単独のシングルとしても改めてリリースされています。それは、本シングル発売からおよそ1年半後の1970年10月1日のことで、ザ・キング・トーンズの6枚目のシングルとしてA面に収録されました。

この6枚目のシングルとしてのリリースにおいて特筆すべき点は、作詞者である橋本淳自身が、歌詞を新たに書き直したバージョンが使用されたことです。また、その際に使用されたカラオケ音源は、この3枚目シングルに収録されている「さよなら友達」のテイクで用いられたものが、そのまま流用されたという興味深い経緯があります。「さよなら友達」もまた、ザ・キング・トーンズの初期を代表する楽曲の一つとして挙げられます。

「家へ帰ろう」と「さよなら友達」は、共に1960年代後半のザ・キング・トーンズの音楽性を知る上で重要な楽曲であり、特にA面の「家へ帰ろう」は、クラシックの名旋律を取り入れるというユニークなアプローチで、当時のポピュラー音楽シーンにおいて異彩を放つ一曲となっています。

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