宿毛湾泊地

宿毛湾泊地

宿毛湾泊地は、大日本帝国海軍が現在の高知県宿毛市にある宿毛湾に設置した泊地です。太平洋での演習を終えた艦隊が休息を取るための拠点として利用されていました。

概要

宿毛湾は、艦隊が演習後に休息するための場所として、また、瀬戸内海に位置する呉海軍工廠に近いため、海軍の試験海域としても活用されました。この泊地は、軍艦にとって重要な役割を果たしていました。

二・二六事件と宿毛湾泊地

1936年の二・二六事件の際には、演習のため宿毛湾に停泊していた第一艦隊が、反乱軍鎮圧のためにここから出撃しました。この事件は、宿毛湾泊地が単なる休息地以上の意味を持っていたことを示しています。

全速航行試験

宿毛湾泊地は、艦隊の休息だけでなく、艦艇の全速航行試験（海上公試）を行う場所としても重要でした。特に、呉海軍工廠で建造・改装された艦艇は、瀬戸内海に近いため、宿毛湾沖で全速航行試験を行うことが多くありました。湾内には速度測定用のマイルポストが設置され、試験時の速度を正確に測定することが可能でした。

全速航行試験では、艦艇が全速力で航行する際の波（ウェーキー）が大きく、その勇ましい姿を捉えることができました。そのため、多くの軍艦の公式写真は、この宿毛湾での全速航行試験時に撮影されています。呉海軍工廠で建造・改装された艦艇の有名な写真の多くは、宿毛湾沖での試験時に撮影されたものです。一方、横須賀工廠で建造・改装された艦艇は、館山沖で全速航行試験が行われていました。

宿毛湾泊地は、単なる休息地ではなく、日本海軍の艦艇にとって重要な役割を果たした場所でした。演習後の休息や全速航行試験など、さまざまな目的で利用され、その歴史は今も語り継がれています。

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