寄り切り

寄り切り（よりきり）

寄り切りは、相撲の重要な決まり手の一つであり、四つに組んだ体勢の中で、相手に自らの体を密着させながら進むことで相手を土俵外に押し出す技術です。この技は相撲の試合で非常に一般的で、相撲観戦をする際によく目にすることができます。

技の仕組みと流れ

寄り切りは、相手との接触が重要な要素です。力士が自ら体をより密接に相手に寄せることで、相手に圧力をかけ、動きを制限させることが目的です。そして、重要なことは、寄り切りの進行中に相手を土俵の端へと導くことです。

相手のまわしを掴んで寄り切りを試みる場面もありますが、土俵際では興味深い変化が見られます。相手のまわしから手を離し、胸や他の部分で押して仕留めることもよくあります。これが判定として『押し出し』に繋がることがあるため、寄り切りには最後のプッシュの仕方においても多様性が見られます。この点では、寄り切れなかったわけではなく、より簡単に決められたといえる場面も多く見受けられます。

寄り切りの使用頻度

特に幕内（まくうち）において、寄り切りは最も多く見られる決まり手といえます。たとえば、2014年の6場所で行われた幕内の取組1828番の中では、寄り切りが542番も発生し、全体の約30%を占めています。この数字は、寄り切りが力士たちにとってどれほど重要かを示しています。

他の決まり手としては、押し出しが332番、叩き込みが165番となり、寄り切りの多さが際立っています。このように、寄り切りは相撲の試合の中で非常に頻繁に使われ、力士たちにとって基本的な技術の一つであると言えるでしょう。

寄り切りと社会的な意味

興味深い点として、寄り切りは相撲の枠を越えて日常生活の中でも用いられることがあります。特定の論に対し粘り強く反論しつつ説得する過程を、比喩的に『寄り切った』と表現することがあります。このように、相撲の技術が戦いだけでなく、議論や対人関係にも影響を与える概念として用いられています。

珍事としての寄り切り

2020年3月場所の初日には、十両以上の取組において寄り切りという決まり手が一度も発生しないという珍しい出来事がありました。このように、相撲界における技の取り扱いは時に予想外の展開を見せることもあります。

寄り出しとその違い

寄り切りには、その類似技として「寄り出し」という言葉も存在しましたが、現在の公式な決まり手には含まれていません。寄り切りと寄り出しの主な違いは、相手が土俵の外に出るまでにどのくらいの時間がかかったかにあります。寄り切りは相手が土俵際でしばらく堪えるのに対し、寄り出しは相手をすぐに土俵外に出してしまう点が異なるのです。相撲の技は単なる身体的な力だけでなく、戦略やタイミングといった多様な要素を含んでいます。

寄り切りはその技術的背景の深さや展開の多様性から、相撲の魅力を深く理解するための鍵とも言えるでしょう。

もう一度検索