叩き込み

叩き込み（はたきこみ）

叩き込みは、相撲において特有の決まり手の一つであり、相手を肩や背中を叩いて倒す技術を指します。この技は、主に突きや押しの攻防の際に発生し、相手の動きに応じて自然と繰り出されることが多いです。叩き込みは立合いの際に変化した場合に発生しやすい技として知られていますが、そのため「注文相撲」とも称されます。これは、あまり褒められた形ではないとされています。

叩き込みを行う際の合理性について考えると、選手は欲を出して叩こうとするあまり、自ら土俵を割られかねない状況を招くことがあります。つまり、相手に狙われるリスクが伴うため、バランスを考えた戦い方が求められます。一方で、相手の変化に応じた結果として叩き込みが成立することもあります。例えば、対戦相手が変化した際に、そのまま体を正面に向け直すことで、逆に相手が倒れ込むケースがあります。

叩き込みの技術に優れた力士には、鶴竜や雅山、舛田山、闘牙、千代大龍などが挙げられます。特に突っ張りを得意とする力士に見られる傾向として、突っ張りから叩き込みに切り替える例が多いです。また、かつて突っ張りを主に行っていた力士が、技術の進化や年齢による体力の衰えにより叩き込みを得意とするケースもあります。千代大海や寺尾、貴闘力などはその良い例です。

鶴竜は特に横綱としてこの技を多用したため、卑怯であるとの印象を与えることもありました。これは彼だけでなく、他の力士にも言えることですが、特に鶴竜は迂闊な叩きにより逆に相手に機会を与えたり、自分が危険な状態に追い込まれたりする場面が見られました。こうしたことから、時に彼の取り口が横綱として適切でないと批判されることもあります。

叩き込みを行う際は、必然的に相手の頭、肩、背中のいずれかを制圧する位置に自らの体勢を持っていく必要があります。その結果、頭を押さえた際に指が髷に入って反則負けとなるケースも多く見受けられます。この傾向は、引き落とし技術についても同じことが言えます。

近年、叩き込みは他の決まり手である寄り切りや押し出しに次いで出現頻度が高い技となっているものの、相撲力の養成に寄与しないという理由から、特に稽古場ではあまり好まれない技でもあります。したがって、叩き込みを重視した取り組みは様々なレベルの力士において注意が必要です。相撲の技が多様化する現代において、叩き込みの特性を理解し、正しく活用することが重要です。

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