寄性獣医・鈴音

『寄性獣医・鈴音』とは

『寄性獣医・鈴音』は、春輝による日本の漫画作品で、2005年から2021年まで連載されました。当初は『ドキッ!』で連載が開始され、その後『ビタマン』を経て、『月刊キスカ』で完結しました。単行本は全14巻で、電子版を含めた累計発行部数は150万部を突破しています。また、2011年には実写映画化もされており、二部作で劇場公開されました。

本作は、寄生虫が引き起こす事件に立ち向かう獣医の有薗鈴音を主人公とした物語です。彼女は、催淫作用を引き起こす謎の寄生虫「Parasite」を回収し、殲滅するために、巨大な組織である鬼頭グループと戦います。物語は、鈴音の過去、寄生虫の謎、そして彼女を取り巻く様々な人物たちの思惑が複雑に絡み合いながら展開していきます。

あらすじ

物語は大きく分けて以下の4つの章で構成されています。

「鈴音 胎動の章」

街で女性たちが異常な発情を起こす事件が発生。獣医の鈴音は、その原因がサプリメントとして流通していた催淫作用を持つ寄生虫であると突き止めます。寄生虫の回収を進める中で、鈴音は寄生虫の製造元である鬼頭財団にたどり着き、そこで父の知り合いである尚美によって、体内の蟲「真祖」を胎動させられてしまいます。鬼頭財団の御曹司である高哉とその親友である忠直と共に、鈴音は混乱の中、真実を追うことになります。さらに、芸能プロダクションに所属するアイドルたちが、寄生虫の実験台にされている事実を知り、鈴音は新たな戦いに身を投じます。

「鈴音 覚醒の章」

鬼頭財団との戦いの中、鈴音の妹であるしのぶが尚美に発砲。鈴音と尚美は建物の窓から落下しますが、鈴音は蟲「真祖」の再生能力によって無事でした。この事件をきっかけに、鈴音は自らの力と向き合い、更なる戦いに挑むことになります。

「鈴音 欲情の章」

尚美とはぐれた鈴音は、鬼頭財団の研究施設に潜入していた二重スパイのセツナの助けを借りて脱出を試みます。しかし、尚美の行動により、施設内の寄生虫が解き放たれ、事態は悪化。鈴音は、新たな敵と戦いながら、自身の出生の秘密に迫っていきます。

「鈴音 研究の章」

鈴音は恩師である城田教授のもとに身を寄せ、寄生虫に関する研究を開始します。同時に、父の研究対象であった寄生虫が巴絵の体に寄生していることに気づき、その謎を解き明かそうとします。鬼頭財団の陰謀、そして父の過去が徐々に明らかになり、物語はクライマックスへと向かいます。

主な登場人物

有薗 鈴音（ありぞの すずね）

本作の主人公。獣医と医師の資格を持つ美少女で、本間動物病院に住み込みで勤務しています。体内に強力な蟲「真祖」を宿しており、寄生虫を回収・殲滅する能力を持っています。

カンテツ

鈴音のペットである雄のカエル。寄生虫が大好物で、鈴音の性欲を抑制する役割も担っています。

相原 尚美（あいはら なおみ）

鈴音の父と寄生虫の研究をしていた美女。自身も寄生虫の宿主であり、サディスティックな一面を持っています。

本間（ほんま）

本間動物病院の院長で、鈴音の育ての親。男色家です。

鬼頭 高哉（きとう たかや）

鬼頭グループの御曹司で、鈴音のフィアンセ。父とは対立しており、鈴音に協力します。

有薗博士（ありぞの はかせ）

鈴音の父である寄生獣医。催淫寄生虫の開発者で、物語の鍵を握る人物です。

鬼頭 権蔵（きとう ごんぞう）

鬼頭グループの総帥。高哉の父で、鈴音を利用して自身の寄生虫を強化しようと企んでいます。

しのぶ

鈴音の妹で、権藤の養女。高い能力を持つ寄生虫を宿しており、鈴音をライバル視しています。

作品の特徴

『寄性獣医・鈴音』は、アクション、エロティック、そしてサスペンスの要素が巧みに融合した作品です。魅力的なキャラクターたちが織りなすドラマ、そして寄生虫を巡る複雑な陰謀が読者を惹きつけます。特に、主人公である鈴音の成長と、彼女が背負う過酷な運命は、読者に深い印象を与えます。また、作中に登場する寄生虫や、それによって引き起こされる現象は、独特の世界観を形成しており、本作の大きな魅力となっています。

実写映画について

2011年には、『寄性獣医・鈴音 GENESIS』と『寄性獣医・鈴音 EVOLUTION』の二部作で実写映画化されました。R15+指定作品となっており、原作の持つ過激な描写を忠実に再現しています。監督は金田龍、脚本は藤岡美暢と小林雄次が担当しました。主演は吉井怜が務め、相原尚美役を神楽坂恵、鬼頭高哉役を高野八誠が演じています。

書誌情報

漫画版は竹書房のバンブーコミックスから全14巻が刊行されています。また、廉価版や電子書籍版も配信されています。

漫画
春輝 『寄性獣医・鈴音』 竹書房〈バンブーコミックス〉、全14巻
春輝 『寄性獣医・鈴音』【廉価版】、竹書房〈バンブーコミックス〉
春輝 『寄性獣医・鈴音』 電子書籍【分冊版】単話 竹書房〈バンブーコミックス〉

小説
春輝（原作） / 藤岡美暢・小林雄次（脚本） / 佐野晶（著）『寄性獣医 鈴音 SUZUNE: GENESIS×EVOLUTION』 竹書房〈竹書房文庫〉、2011年11月17日発売、ISBN 978-4-8124-4804-5

『寄性獣医・鈴音』は、寄生虫というテーマを軸に、人間ドラマ、アクション、そしてエロティックな要素が絡み合った、唯一無二の世界観を持つ作品です。ぜひ一度、その魅力に触れてみてください。

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