密漁

密漁とは

密漁（みつりょう）は、国が定める法律や国際協定に反して違法に魚介類や動物を捕獲する行為を指しています。特に、水産物に関する密漁は、漁業権を侵害し、漁業資源に深刻な影響を与えることがあります。一般に、陸上の動物の不法捕獲は密猟と呼び分けられますが、ここでは水産物に焦点を当てます。

密漁の形態

密漁には、免許や許可を得ずに漁業を行う場合、禁漁や禁止漁法に違反する場合、漁業権を侵害する場合などがあります。また、特定の海域においても密漁が行われています。特に日本近海では、アワビやナマコが密漁の主要な対象とされており、密漁者たちは主に小型ボートやスキューバダイビングを使って違法な漁を行います。

国内の密漁の実態

日本国内では、アワビやサザエといった貴重な海産物の稚貝を養殖している海域で、組織的な密漁が行われている点が特に問題視されています。密漁は規模が小さいものの、一回の被害額は数百万円から数千万円に達することがあり、漁業者の経済的困窮を背景に暴力団が絡む場合が多いとされています。

経済的な事情から密漁に手を染める漁業者も多く、実際には日本で流通するアワビの45%やウナギの3分の2が密漁されたものと推測されています。しかし、密漁に反対する漁業者たちも多く、海上保安庁や警察に密漁情報を提供することで取り締まりに貢献しています。

2012年には、漁業違反での送致件数が2,657件に上り、その大半が密漁に関連していました。また、SNSでの密漁情報の拡散が問題となり、個人が法令違反を意識せずに密漁を行うケースが増えています。これに伴い、密漁者の身体的危険も高まっています。特に外国人による密漁は増加しており、実際に事故が報告されています。

日本での取り締まりの現状

日本では密漁の取り締まりを主に農林水産省の水産庁が行っており、各都道府県の水産課も協力しています。漁業監督官や漁業監督吏員が取り締まりを担い、海上保安庁や警察がそのサポートをします。過去には、地元の漁師が独自に密漁者を監視し、逮捕に成功した例もありますが、最近では暴力事件に発展することが多いため、警察との協力が求められています。

違法な漁業行為が確認された場合、漁業法によって最大3年の懲役または200万円以下の罰金が科せられます。また、都道府県によっては、漁獲物を同性団体からの承認を受ける必要があり、無許可での漁業行為は厳しく取り締まられています。加えて、漁業権侵害に対しては20万円以下の罰金が科されますが、捕獲された違法漁獲物が高額であるため、取り締まり当局は課税通報制度を利用して犯罪抑止に努めています。

外国漁船による密漁

日本海では、韓国や中国の漁船による密漁が問題となっています。韓国漁船は特に夜間に高速で密漁を行い、捕まればすぐに逃げ去るという手口が多いため、取り締まりが難しい現状です。中国漁船による密漁も深刻で、サンゴを対象とした密漁が多発しています。これに対抗するために、日本は法改正を行い、外国人密漁者に対しては日本人より厳しい罰則を適用することを決定しました。

例えば、外国人が日本の排他的経済水域内で漁業を行った場合、最大3,000万円の罰金が科せられることがあります。また、立入検査に対しても厳しい罰則が設けられています。

その他の国での密漁

密漁は日本だけでなく、世界中の海域で問題となっています。フィリピンのトゥバタハ岩礁では、中国の漁船が違法行為により厳罰を受けています。また、エクアドルのガラパゴス諸島周辺でも、密漁が生態系を脅かしており、取り締まりが強化されています。さらに、カリフォルニア州では、チョウザメの過度な漁獲が問題視されており、商業目的の漁が禁止される事態となっています。

これらの事例からもわかるように、密漁は国際的な問題であり、各国が協力して対策を講じることが求められています。

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