富吉駅

概要

富吉駅（とみよしえき）は、愛知県海部郡蟹江町富吉一丁目に位置する、近畿日本鉄道（近鉄）名古屋線の鉄道駅である。駅番号はE09が付与されている。

本駅の特筆すべき点は、駅に隣接して近鉄の重要な車両基地である富吉検車区が設置されていることである。このため、当駅を始発または終着とする列車が多数設定されており、名古屋線における列車運行上の重要な拠点の一つとして機能している。駅構造としては、列車待避が可能な島式ホーム2面4線を持つ地上駅であり、駅舎は線路の上を跨ぐ橋上式となっている。

歴史

富吉駅は、比較的新しい駅として開業した。具体的には、1964年（昭和39年）12月10日に、近鉄名古屋線の近鉄蟹江駅と佐古木駅の間に新たに設置され、営業を開始した。

その後の鉄道利用環境の変化に対応し、2007年（平成19年）4月1日からは、ICカード乗車券「PiTaPa」の利用が可能となり、利便性が向上した。

駅所在地の住所に関しては、2014年（平成26年）1月11日に蟹江町内で実施された町名地番変更に伴い、それまでの大字蟹江新田字与太郎から、現在の富吉一丁目に変更されている。

駅構造

駅施設は地上部に設けられており、島式ホームが2面、線路が4線配置された構造となっている。これは、急行などの優等列車の通過待ちや、先行する普通列車の接続待ちといった列車待避を行うのに適した配置である。駅舎は線路を跨ぐ形で設けられた橋上駅舎であり、改札口は一箇所に集約されている。駅への出入口は南北双方に設けられており、それぞれ周辺に立地するUR賃貸住宅の建物内に設置されている。

駅の北側には富吉検車区が隣接している。また、駅構内の一部には行政界があり、駅施設の大部分や検車区の敷地は蟹江町内に所在するが、ホームのごく一部や列車区に関連する一部の建物は愛西市側に位置するという珍しい特徴がある。

富吉駅は現在、近鉄名古屋駅の管理下に置かれている無人駅である。しかしながら、主要な交通系ICカード（PiTaPaやICOCAなど）に対応した自動改札機や、ICカードへのチャージ、回数券カードの精算などが可能な自動精算機が設置されており、係員不在でもICカード等での利用が可能となっている。かつては駅窓口での特急券や定期券の予約受付・販売も行われていたが、2009年（平成21年）以降は取り扱いが廃止されている。

バリアフリー設備としては、エレベーターが改札内と改札外にそれぞれ2基ずつ、合計4基設置されている。ただし、エスカレーターの設置はない。

ホーム配置としては、1番線と3番線が通過列車が使用する主本線、2番線と4番線が待避や折り返しに用いられる副本線となっている。名古屋方面が1番線・2番線、伊勢中川方面が3番線・4番線である。ホームの有効長は、伊勢中川方面主本線の3番のりばが5両分なのに対し、他の1・2・4番のりばは6両分となっている。このため、8両編成の回送列車などが停車する際にはホームからはみ出す。

4番線およびそれに隣接する7番線には双方向への出発信号機が設置されており、4番のりばから伊勢中川方面へ出発することも可能である。

ダイヤ

前述の通り、富吉駅は近鉄名古屋線における重要な折り返し拠点である。普通列車に加え、一部の準急列車も当駅を始発または終着としている。当駅より南の駅には、長い編成に対応できないホームを持つ駅が存在するため、6両編成で運転される準急列車はすべて近鉄名古屋駅と当駅の間のみの運行となっている。なお、当駅での車両の連結・切り離し作業は行われない。

名古屋方面からの列車では、準急が朝および夕方ラッシュ時の一部と夜間に当駅終着となる列車が多く設定されている。普通列車は、日中時間帯には1時間あたり2本、朝夕には1時間あたり2本から4本が当駅で折り返す形で運行される。

伊勢中川方面への列車は、早朝時間帯に当駅を始発とする近鉄四日市行き、津新町行き、伊勢中川行きといった中・長距離列車が設定されている（本数は曜日により異なる）。また、深夜には津新町駅から当駅まで運行される普通列車が1本設定されている。

待避可能な構造を活かし、当駅では列車の接続待ちや通過待ちが頻繁に行われている。特に早朝・夜間帯や日中時間帯には、準急と普通の間の乗り換えを考慮した接続が実施される場合がある。

通常ダイヤにおいて急行列車は当駅を通過するが、例外として、鈴鹿サーキットで開催されるF1日本グランプリなどの大規模イベントに伴い運行される臨時列車において、定期列車の運転区間・種別が変更される場合に臨時停車することがある。

駅周辺

駅周辺には、UR都市機構の賃貸住宅ビルが駅出入口と直結する形で立地しており、駅の南北それぞれの顔となっている。

北口側には、タクシー乗り場が整備されているほか、百五銀行富吉支店やとみよし幼稚園などがある。また、JR東海関西本線の永和駅が北へ約1km、徒歩15分程度の距離に位置しており、乗り換えも可能である。

南口側には、UR都市機構近鉄富吉第2ビル、桑名三重信用金庫蟹江支店、蟹江警察署、蟹江富吉郵便局といった施設に加え、アオキスーパー、ファッションセンターしまむら、クリエイトSDなどの商業施設が複数あり、周辺住民の日常生活を支えている。このほか、愛知大学の蟹江グラウンドも南側に位置している。

かつては名古屋鉄道（名鉄バス）の路線が駅北口に乗り入れていた時期もあったが、現在は路線バスの直接乗り入れはない。

隣の駅

近畿日本鉄道名古屋線
急行：通過
準急・普通：近鉄蟹江駅 (E08) - 富吉駅 (E09) - 佐古木駅 (E10)

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