富塚良三

富塚良三について

富塚良三（とみづか りょうぞう、1923年5月15日 - 2017年1月12日）は、日本のマルクス経済学の著名な学者であり、中央大学の名誉教授を務めました。千葉県で生まれ、数々の重要な経済学の理論を提唱し、学術界において高く評価されています。「恐慌論研究」などの著作を通じて彼は経済学の発展に寄与し、その業績は今なお多くの研究者に影響を与えています。

来歴

富塚は、千葉県で生まれ、旧制第三高等学校を経て京都大学文学部の西洋史学科に進学しました。その後、1949年に東京大学経済学部を卒業し、指導教授であった大河内一男の下で学びました。彼は利潤率の傾向的低下の法則を最初に証明し、経済学界で注目を集めました。また、彼の著作「恐慌論研究」では、均衡蓄積軌道論を提示し、経済再生産や恐慌の理論を深化させる重要な貢献をしました。

学説

大学での勉強中に、富塚は山田盛太郎から再生産論を学び、大原社会問題研究所では久留間鮫造からマルクスの資本論について学びました。福島大学に勤務していた際、熊谷尚夫との間で「相対的過剰人口」に関する討論を行い、これは近代経済学とマルクス経済学の間での重要な論争として知られています。富塚の主著「恐慌論研究」によって、彼は経済学博士の学位を取得し、この書籍は全体を通じて高い評価を受けています。

一般的に、マルクス経済学者は近代経済学を無視されることが多いですが、富塚は中央大学で近代経済学についても研究しました。その結果、彼は有効需要の理論を独自の視点から導き出し、ケインズやカレツキの考え方とは異なるアプローチを展開しました。

また、彼は著書「経済原論」でレーニンに対する批判も行っており、教条的なマルクス主義的な見解から脱却した姿勢を示しています。

職歴

彼の職歴は、1949年に大原社会問題研究所の研究員として始まり、1952年には福島大学に転籍しました。1962年には中央大学商学部助教授に就任し、その後教授に昇任しました。1994年には定年を迎えるまで教壇に立ちました。その間、数々の重要な著作を発表し、経済学の発展に貢献しました。

主な著作

富塚の代表的な著作には以下があります：

• - 1962年「恐慌論研究」
• - 1965年「蓄積論研究」
• - 1970年「経済学原理」
• - 1976年「経済原論」
• - 1985年「資本論体系全11巻」（編著）
• - 2007年「再生産論研究」

特に「恐慌論研究」は経済学博士論文としても提出され、高い評価を受けています。彼の学問的成果は、均衡蓄積軌道論や利潤率の傾向的低下の法則に関する研究において特筆されます。これらの理論は今や日本の経済学の重要な支柱となっており、彼の貢献は後の研究者たちに多大な影響を与えています。

均衡蓄積軌道の業績

富塚が提唱した均衡蓄積軌道は、再生産論における革新的な理論であり、鶴田満彦などから支持されています。この理論は当初、「ブルジョワ的」との批判にさらされましたが、次第に学界での重要性が認識され、現在では日本のマルクス経済学の一大成果として評価されています。後に多くの研究者により再生産表式との関連が議論され、理論の深化が各所で進められています。このように、富塚良三は経済学の理論構築において重要な役割を果たした学者であり、今後もその影響力は続くでしょう。

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