富士登山駅伝

富士登山駅伝の概要

富士登山駅伝（ふじとざんえきでん）は、静岡県御殿場市にて行われる特異な駅伝競技で、富士山の麓と山頂を往復する形で開催されます。この大会は「秩父宮記念第○回富士登山駅伝競走大会」として知られ、毎年8月の第1日曜日に実施されており、世界の駅伝競技の中で最も高低差が大きいことで有名です。2024年の大会終了時点で、優勝回数が最多のチームは滝ヶ原自衛隊で、29回という記録を持っています。

歴史

富士登山駅伝の歴史は1913年（大正2年）に始まります。この年に金栗四三が発起人となり、富士登山競走が行われました。初期の競技は富士山の御殿場口五合目から山頂までのタイムを競うもので、現在の駅伝とは異なります。1925年には御殿場駅前と富士山頂を結ぶ往復駅伝としての形式が確立されましたが、その後の戦争の影響で中断を余儀なくされました。

1976年に大会が復活し、以来毎年行われるようになりました。ただし、コロナ禍の影響で2020年と2021年は中止となりました。この大会は非常に過酷なコースとされており、坂の急勾配や悪路条件などが選手たちに大きな挑戦を与えています。この競技に挑む選手たちは、登りと下りがあるため高い技術と体力が求められます。

コースの特徴

大会のスタートとゴールは御殿場市陸上競技場で、標高約580mの地点から始まり、富士山の山頂（約3,776m）を経て戻る48.19kmのコースを走ります。競技は6人の選手で構成され、11の区間に分かれています。特に厳しいのは1区から6区で、山を登るため、選手たちは体力を最大限に使わなければなりません。山頂では富士山本宮浅間大社奥宮でたすきに判を押してもらい、それを持って同じ道を下ります。

高低差は3,199mにも達し、歩行するのが難しい砂利や岩などが多いため、非常に厳しい道程となっています。また、天候によっては視界が悪くなり、危険な状況も発生します。そのため、1982年の大会では台風の影響で中止となるなど、コースの安全が常に重要視されています。

表彰

1990年からは総合優勝チームに「秩父宮賜杯」が贈られるようになりましたが、その後自衛隊チームが常に優勝を独占するようになったため、2005年からは自衛隊の部と一般の部に分かれての競争が行われるようになりました。今では自衛隊の部優勝チームには「御殿場市長杯」、一般の部優勝チームには「金栗四三杯」が授与されます。総合優勝には依然として秩父宮賜杯が贈られ、競技の栄えを象徴しています。

観戦ガイド

観戦は御殿場市陸上競技場から富士山頂までの沿道で可能です。特に注目されるのは「大砂走り」と呼ばれる区間で、選手たちは火山灰が舞う急勾配を全速力で下ります。この過程で選手は転倒したりすることもあり、迫力あるシーンが繰り広げられます。常連チームの滝ヶ原自衛隊と千葉県の第1空挺団は、ライバルとして切磋琢磨し、観客を盛り上げています。

放送について

テレビ中継は「雲海を走る!!富士登山駅伝」と題され、テレビ静岡などが制作に関与しています。2006年に全国放送が打ち切られた後、2024年には再び30分のダイジェスト番組が放送される予定です。観戦者にとっては見逃せないイベントと言えるでしょう。

富士登山駅伝は競技の厳しさだけでなく、富士山という自然の美しさが相まって、多くの人々に魅了し続けています。

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