富岳風穴

富士山麓に佇む神秘の洞窟、富岳風穴

富岳風穴は、富士山の北西山麓に広がる青木ヶ原樹海にひっそりと口を開ける、全長201メートル、高さ8.7メートルの横穴式の溶岩洞窟です。富士山の噴火によって流れ出した溶岩が冷え固まる際に形成されたと考えられています。その壁面は玄武岩質で、自然の雄大さを感じさせます。1929年には、その学術的価値が認められ、旧文部省により天然記念物に指定されました。

洞窟内は、一年を通してひんやりとしており、夏でも氷柱が溶けずに残るほどです。溶岩が作り出した芸術的な地形である溶岩棚や、縄状溶岩も見どころの一つです。これらの自然の造形美は、訪れる人々を魅了します。また、江戸時代から昭和時代にかけては、この低温を活かしてカイコを飼育するなど、様々な用途で利用されてきました。

現在、富岳風穴は、同じく青木ヶ原に位置する鳴沢氷穴と共に、富士急グループの富士観光興業によって運営されています。洞窟の入り口手前には、森の駅「風穴」としてリニューアルオープンした売店があり、お土産選びや休憩に便利です。

青木ヶ原の自然が生み出した風穴群

富岳風穴が位置する青木ヶ原は、富士山の歴史的な噴火によって形成された場所です。特に貞観6年（864年）の「貞観大噴火」では、大量の溶岩が流れ込み、大室山や長尾山といった噴石丘や、西湖・精進湖といった湖沼を生み出しました。この溶岩流によって、多くの火山性洞窟や溶岩洞が形成され、富岳風穴もその一つです。青木ヶ原には、富岳風穴以外にも、以下のような興味深い洞窟が存在します。

鳴沢氷穴 (山梨県南都留郡鳴沢村、天然記念物)
鳴沢熔岩樹型
富士風穴
本栖風穴
大室洞窟
西湖コウモリ穴 (山梨県南都留郡富士河口湖町西湖地区)
* 人穴

これらの洞窟は、それぞれに異なる特徴を持ち、富士山の火山活動の歴史を物語る貴重な場所となっています。

富岳風穴へのアクセスと観光情報

富岳風穴へは、国道139号線からアクセスできます。風穴の入り口は、国道から北側（富士山頂上と反対側）に位置しています。周辺には、青木ヶ原樹海をはじめ、富士五湖など多くの観光スポットがあります。富岳風穴を訪れる際は、これらのスポットと合わせて観光するのもおすすめです。

富岳風穴は、富士山の自然が生み出した神秘的な空間です。自然の造形美や歴史を感じながら、涼やかな洞窟探検を楽しんでみてはいかがでしょうか。

外部リンク

富岳風穴（富士の国やまなし観光ネット）

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