富永直樹

富永直樹について

富永直樹（とみなが なおき、本名：富永良雄）は、1913年5月18日に長崎県長崎市に生まれ、2006年4月11日に亡くなった日本の著名な彫刻家であり、工業デザイナーでもありました。彼はその生涯を通じて多くの印象的な作品を創り出し、また工業デザインの分野でも重要な役割を果たしました。

学歴と初期の活動

東京美術学校（現在の東京芸術大学）で彫刻を学び、塑像科で首席を修了しました。彼の在学中には北村西望や朝倉文夫、建畠大夢といった著名な教授たちから指導を受けました。特に北村西望の影響を受けた彼は、1936年に日展の前身である文展に「F子の首」を出品し初入選を果たしました。その後、日展を主な活動の場として、1950年から1952年にかけて3年連続で特選を受賞するなど、確固たる地位を築いていきました。

主な受賞歴と業績

1972年には日本芸術院賞を受賞し、その後1974年には日本芸術院の会員となりました。1983年には蓼科にアトリエを設け、徐々に制作活動を東京と蓼科の2つの拠点で行うようになりました。1984年に文化功労者として表彰され、1989年に文化勲章を受章しました。また、1990年には長崎名誉県民として顕彰され、日展理事や理事長を歴任した後、日展の顧問に就任しました。

富永の代表作品としては1968年に文部大臣賞を受賞した「平和の叫び」や1961年の「トーマス・ブレーク・グラバー之像」があります。また、トッパン・フォームズ株式会社のエントランスには「青春の賛歌」が置かれ、神戸市垂水区にある井植記念館のロビーには彼が手がけた井植歳男像が設置されています。さらに、諏訪市博物館の入口には「美しき広場」という作品も置かれています。

2008年には、彼の長男である富永良太から「僕らの遊び場」が茅野市美術館に寄贈され、また富永の友人である水引秀雄からは「A PAEAN（賛歌）」が寄贈され、茅野市民館のコンサートホールに設置されることとなりました。2014年には生誕100年を迎え、その記念展が茅野市美術館で開催され、多くの人々に想いを伝える場となりました。

工業デザイナーとしての側面

彫刻活動の傍ら、富永は三洋電機において工業デザイナーとしても著名です。彼はインダストリアルデザインの草分け的存在であり、電話4号機のデザインや日本初のカラー電話、家具調テレビ、さらにはプラスチックラジオSS-52といったヒット商品にも関与しました。彼のデザインは日本の産業界における基盤形成に大きく貢献し、今なお多くの製品がその影響を受けています。

彼の業績は彫刻だけでなく、工業デザインにも広がり、日本文化や産業に多くの足跡を残しました。富永直樹は、彫刻とデザインの両方で革新をもたらした重要な人物であり、今後もその業績が語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索