富田辰郎

富田辰郎（とみた たつろう）は、1952年1月23日に埼玉県川口市に生まれた日本の財務官僚です。父親は千葉県出身、母親は埼玉県出身でした。

開成高等学校を卒業後、東京大学経済学部経済学科に進学。在学中に国家公務員上級甲種試験（経済分野）に合格し、官僚としての道を歩み始めました。

1974年4月、旧大蔵省に入省。最初の配属先は省内の文書管理や連絡調整を担う大臣官房文書課でした。キャリア初期には、1976年7月に名古屋国税局調査査察部にて税務調査の実務に触れ、1977年7月には関税局企画課で関税政策の企画立案に関与しました。1979年7月には伊勢崎税務署長に着任し、税務行政の現場指揮を執りました。

1980年7月からは証券局総務課で企画・調査を担当する課長補佐として、日本の証券市場に関する業務に従事しました。1982年7月からの外務研修を経て、1983年5月から1986年6月まで、外務省に出向し在フランス大使館二等書記官を務めました。この在外勤務期間は3年以上にわたり、国際的な経済動向の分析や外交活動の支援といった重要な役割を果たしました。

帰国後の1986年6月、理財局資金第二課長補佐に就任。国の資金運用や財政投融資に関連する業務を担当しました。1989年6月には大臣官房企画官に任命され、理財局資金第一課を兼務するなど、省全体の重要政策の企画立案に関わる要職を務めました。

キャリアの中では、地方機関や他省庁への出向も経験しています。1990年7月には東京国税局調査第一部長として、大規模な税務調査の陣頭指揮を執りました。1992年7月からは徳島県に出向し、総務部長として地方自治体の運営に深く関わりました。これは、中央省庁のキャリア官僚が地方行政の幹部を務める代表的なキャリアパスの一つです。

1994年6月に大臣官房付として本省に戻り、同年7月には関税局管理課長に就任し、関税行政の効率的な管理運営を推進しました。その後、理財局に戻り、1995年8月に資金第二課長、1996年7月に国庫課長と、国の資金や予算執行に関わる理財局の主要な課長職を歴任しました。

1997年7月からは環境庁に出向し、自然保護局企画調整課長、そして1998年6月からは企画調整局企画調整課長を務めました。ここでは、それまでの財務・税務・関税といった分野に加え、環境政策の総合的な企画調整に携わり、新たな経験を積みました。

キャリアの終盤では、2000年6月30日に神戸税関長に着任。主要な港湾を管轄する税関の責任者として、貿易の円滑化と不正貨物の取り締まりを指揮しました。2002年7月9日には国税不服審判所次長に就任。税務に関する不服申立てに対して、公正・中立な立場で審理・裁決を行う組織の運営を支える役割を担いました。

2004年7月2日をもって、長年にわたる大蔵省・財務省での公的なキャリアを終え退官しました。退官後も、2008年6月20日からは日本貨物鉄道株式会社（JR貨物）の監査役を務めるなど、民間においてもその豊富な経験を活かしました。

長年にわたり国家公務員として財政、税務、関税、環境行政など多岐にわたる分野で貢献した功績が認められ、2022年には瑞宝中綬章を受章しました。

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