寛永の遺老

寛永の遺老とは

寛永の遺老とは、江戸幕府3代将軍徳川家光の死後、家光によって取り立てられ、幕政を主導した政治家たちのことを指します。彼らは、家光の治世下で幕府の基礎を固め、その死後も若年の4代将軍徳川家綱を支える重要な役割を担いました。

寛永期の幕府体制

寛永年間（1624年 - 1644年）において、徳川家光は、松平信綱をはじめとする側近たち（6人衆）を重用し、幕府の統治機構を盤石なものとしました。特に信綱は、家光の幼少期から側近として仕え、幕政の中核を担いました。1651年（慶安4年）に家光が病没すると、世子の徳川家綱が4代将軍に就任しましたが、当時11歳と若年であったため、幕政は信綱を中心とした集団統治体制によって運営されることとなりました。

家綱初期の集団統治体制

家綱の治世初期は、松平信綱に加え、家光の異母弟であり家綱の叔父にあたる保科正之、家光時代からの大老である井伊直孝、酒井忠勝、老中であった阿部忠秋、御側であった中根正盛、その他に稲葉正則、酒井忠清らが幕政を主導しました。彼らは、家光によって選ばれた有能な人材であり、若年の家綱を支え、幕府の安定に尽力しました。

寛文期への移行と幕府の変遷

しかし、寛文年間（1661年 - 1672年）に入ると、寛永の遺老たちは相次いで死去したり、老齢のため表舞台から引退したりしました。これにより、幕府の中枢は、久世広之、土屋数直などの新たな側近たちへと移り変わりました。そして寛文6年（1666年）には、酒井忠清が大老に就任し、家綱の治世後半15年間は、忠清が実権を握る形で幕政が運営されました。この時期、幕府は新たな局面を迎えることとなります。

綱吉への将軍交代と元禄時代

1680年（延宝8年）に徳川家綱が死去すると、弟の徳川綱吉が5代将軍に就任しました。これにより、大老であった酒井忠清は更迭され、堀田正俊が後任となりました。この将軍交代は、幕府の体制が大きく変わる契機となり、元禄時代へと突入していくこととなりました。ちなみに酒井忠清は、翌年死去しています。


寛永の遺老たちは、徳川幕府の安定に大きく貢献しました。彼らの存在は、初期の幕府運営において重要な役割を果たし、その後の幕府の歴史にも大きな影響を与えました。

もう一度検索