寝むって行くあの雲よ

寝むって行くあの雲よ

朴鍾和による小説『寝むって行くあの雲よ』（朝鮮語: 자고 가는 저 구름아）は、李氏朝鮮時代の光海君の生涯を描いた歴史小説です。2003年にSBSで制作されたテレビドラマ『王の女』の原作としても知られています。

小説の概要

この小説は、1961年から1967年まで韓国日報で連載され、1968年に三省出版社から全5巻の単行本として出版されました。2003年には、テレビドラマ化に合わせて再版されています。

物語の舞台は、宣祖の治世下の1591年から仁祖が即位した1623年まで。李氏朝鮮第15代国王である光海君の波乱に満ちた生涯を、歴史的な背景を踏まえながら描いています。特に、正史では暴君とされてきた光海君の業績を再評価する視点が特徴です。

あらすじ

幼くして実母を亡くした光海君は、父である宣祖の関心をなかなか得られませんでした。しかし、王妃懿仁王后の推薦により、仁嬪金氏の王子たちを抑えて王世子となります。

宮廷の女官であるカヒは、密かに光海君を愛していました。しかし、その美貌が宣祖の目に留まり、承恩尚宮となります。光海君への想いを断ち切るため出家を試みますが、周囲の説得により思いとどまります。

懿仁王后の崩御後、宣祖は新たな王妃として金悌男の娘を迎えます。カヒは王妃の懐妊を阻止しようと画策しますが、王妃は永昌大君を出産。宣祖の譲位を巡る重臣たちの対立は激化し、宣祖と光海君の関係も悪化していきます。光海君の立場が危うくなった矢先、宣祖はカヒが献上した薬飯を食した後、急逝。光海君が新たな国王として即位します。

光海君は、壬辰倭乱・丁酉倭乱によって荒廃した国内の復興に尽力します。法律を制定し、社会の規律を正そうとしただけでなく、『東医宝鑑』をはじめとする多くの書籍を編纂させました。

しかし、その一方で、カヒは李爾瞻と手を組み、政敵を次々と追い落としていきます。光海君の実兄である臨海君は殺害され、仁穆大妃の実父である金悌男とその息子たちは処刑されます。仁穆大妃自身も西宮に幽閉され、その子である永昌大君は江華島に流刑にされた後、蒸殺されます。

光海君の政治に不満を持つ勢力は、綾陽君を擁立してクーデターを計画。光海君は廃位され、済州島で生涯を終えます。カヒと李爾瞻は刑場の露と消えました。

書誌情報

2003年、テレビドラマ化に合わせてムンイェダンから全7巻が再版され、2010年にも増刷されました。

第1巻 ISBN 9788957890011
第2巻 ISBN 9788957890028
第3巻 ISBN 9788957890035
第4巻 ISBN 9788957890042
第5巻 ISBN 9788957890059
第6巻 ISBN 9788957890066
* 第7巻 ISBN 9788957890073

テレビドラマ『王の女』

2003年には、『王の女』（왕의 여자）というタイトルでテレビドラマ化され、SBSの月火ドラマ枠で放送されました。ユン・ジョンゴンが脚本を、キム・ジェヒョンらが演出を担当。光海君役はチソン、ケトン役はパク・ソニョンが演じました。

当初、ケトン役にはシム・ウナが予定されていましたが、彼女が芸能界復帰を拒否したため、パク・ソニョンが代役を務めることになりました。

当初全80話の予定でしたが、視聴率が伸び悩み、42話で終了。しかし、熱心なファンからの抗議やメディアからの批判も起こりました。

韓国国外での放送

日本では、スカパー!のKNTVで2006年に放送された後、BS朝日で2009年に放送されました。

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