審判ブレザー

審判ブレザー（しんぱんブレザー）

野球の審判員が、主に春先や秋口から冬にかけての肌寒い季節に着用する上着の一種です。かつては試合に出場するすべての審判員（球審、塁審、外審）が着用するのが一般的でしたが、時代の流れとともに着用される場面が変化してきました。

現在では、北米のメジャーリーグベースボール（MLB）、日本のプロ野球（NPB）、さらには高校野球においても、球審がブレザーを着用するケースが主流となっています。一方、塁審や外審はより動きやすいブルゾンタイプの審判服を着用することが多くなっており、これが現代の傾向と言えます。

特徴と機能

審判ブレザーは、一見すると一般的なブレザーと似ていますが、野球の審判員の役割を果たすために特化されたいくつかの重要な特徴を持っています。

背中のノーフォーク仕様: 肩周りの動きを妨げないよう、背中にノーフォーク・ジャケットのようなプリーツやアクション・バック構造が採用されています。これにより、投球判定などで腕を大きく動かす際の制約が軽減されます。
大型のボール袋ポケット: ブレザーの両サイドには、試合中に使用する予備のボールを入れておくためのポケットが備わっています。これはボール袋の役割も兼ねており、一般的なブレザーのポケットよりも大きく設計されています。

これらの機能的な違いを除けば、シルエットや基本的なデザインは一般的なブレザーと大きな差はありません。また、近年のモデルでは、悪天候に対応するための撥水加工が施されたものや、動きやすさをさらに向上させるストレッチ素材が採用されているものも見られます。

色の変遷

審判ブレザーの色は、多くの場合、落ち着いた紺色が基本とされています。しかし、過去には特定のリーグや期間で異なる色が採用された例もあります。例えば、日本のプロ野球のパシフィック・リーグでは青色のブレザーが、MLBのアメリカン・リーグではワインレッドのブレザーが使用されていた時期がありました。

着用を巡る議論と個々の選択

審判ブレザーの着用については、審判員の間で様々な意見が存在します。

着用を支持する意見としては、ブレザーを着用することで身が引き締まり、それが判定に良い影響を与える、あるいは審判としての威厳を示す上で重要であるという考えがあります。こうした精神論的な側面から、ブレザーは審判服として欠かせないアイテムであると考えるベテラン審判員も少なくありません（例：東利夫氏、丹波幸一氏、笠原昌春氏、西本欣司氏など）。

一方で、着用に消極的な意見も存在します。ブレザーは着膨れしやすく、特に機敏な動きが求められる場面では動きづらさを感じることが理由として挙げられます。実際に、プロ野球審判員の中には、着膨れを嫌いブレザーを一切着用しないという選択をする人もいます（例：敷田直人氏）。敷田氏以外にも、杉永政信氏、橋本信治氏といった審判員がブレザー非着用スタイルを好む傾向にあるとされます。

このように、ブレザーの着用は機能性と伝統・精神論の間で揺れ動く側面があり、最終的に着用するか否かは個々の審判員の判断に委ねられているのが現状です。

関連項目

プロ野球審判員
高校野球審判員
軟式野球審判員
ブレザー
審判服
キンパラ (企業)

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