審判用具

審判用具（しんぱんようぐ）

スポーツ競技において、試合の公正な進行と円滑な運営を担う審判員が、判定や指示、安全確保のために身につける、または携行するさまざまな道具を総称して審判用具と呼びます。競技の種類や審判員の役割によって内容は大きく異なり、それぞれのスポーツの特性に応じた多様な用具が、審判活動に不可欠なものとなっています。

競技別の主な審判用具

スポーツごとに、審判員が使用する代表的な用具を以下に挙げます。

野球・ソフトボール

野球やソフトボールでは、審判員の役割によって用具が異なります。

球審（主審）：本塁後方に位置し、投球判定やコールなど、試合の重要な判定に関わります。高速の投球や打球から身を守るため、保護具を着用します。顔面や頭部を保護するマスク、胸部や腹部を覆うインサイドプロテクター（アマチュア野球では以前はアウトサイドも一般的でした）は必須です。また、カウントとアウト数を記録するインジケーター、試合球を入れるボール袋、本塁周辺のラインを整える刷毛（ハケ）も携行します。さらに、専用の球審用審判靴を着用します。
塁審：各塁上や外野に配置され、主に走塁や打球の判定を行います。基本的な携行品として、判定数を記録するインジケーター、必要に応じてラインを整える刷毛、そして塁審用審判靴が必要となります。

サッカー

サッカーの審判員は、ピッチ全体を動き回りながら試合をコントロールするため、視覚的合図や記録、規律に関わる用具が多く用いられます。

主審：試合の中心です。反則に対し警告や退場を指示するイエローカードとレッドカードは象徴的です。試合開始やキック方向決めなどに使用するコイン、正確な時間を計測する腕時計、試合中の出来事を記録する記録用具も必須です。特定の大会でフェアプレーを称賛するグリーンカードを所持する場合もあります。試合開始・中断・終了、反則などを知らせる笛も重要な役割を果たします。
副審（線審）：タッチライン沿いを動き、オフサイドやボールがラインを越えたかなどを判定し、フラッグを用いて主審に合図を送ります。
第4の審判員（予備審判）：タッチライン脇に位置し、選手交代やアディショナルタイムを表示するための表示用ボードを使用します。
通信機器：重要な試合では、円滑な連携のためにマイクとイヤホンを用いることもあります。

ラグビー

ラグビーの審判員も、笛やカード、旗などの合図を用いる用具を使用します。

主審：試合開始・中断・終了や反則などを知らせるための笛は必須です。また、シンビンや退場を指示する際にゼブラカードが用いられることがあります。
線審：タッチラインの外に位置し、主にボールがラインを越えたことなどを判定し、フラッグを用いて主審に合図を送ります。

バレーボール

バレーボールの審判員は、ネットを挟んで立つ主審・副審と、コートの四隅に立つ線審に分かれます。

主審・副審：サービス開始許可、反則、ラリー終了などを知らせるために笛を使用します。
線審：ボールがコート内か外か、ラインを越えたかなどを判定し、フラッグを使って主審・副審に合図を送ります。