審議 (競馬)

競馬における審議

競馬における審議とは、競走中に不正な行為がなかったかを審査するプロセスのことです。発馬機のゲートが開いてから決勝線を迎えるまでの間に、進路妨害や負担重量の問題などが生じた場合に行われます。ここでは、日本の中央競馬における審議を中心に解説します。

概要

審議は、競走中に進路妨害の疑いが生じたり、負担重量に問題が生じたりした場合に行われます。審議の結果によっては、着順が変更されたり、騎手に制裁が科せられたりすることがあります。

日本国内の審議

中央競馬

中央競馬の審議は、日本中央競馬会競馬施行規程に基づいて行われます。以前は、審議を行う際に審議放送や電光掲示板での表示が行われていましたが、2013年以降は5位以内入線馬に降着・失格の可能性がある場合を除き、これらの表示は省略されるようになりました。

5位以内入線馬について審議が行われる場合は、電光掲示板に「審議」または「審」と表示され、青ランプが点灯します。審議は通常、競走終了直後に開始されますが、後検量で負担重量に問題があった場合など、競走後しばらくしてから開始されることもあります。

競走終了後、裁決委員はパトロールビデオを見て降着・失格の対象になるか否かを審議します。必要に応じて、被害馬・審議対象馬の関係者を裁決室に呼び事情を聴くこともあります。

審議が場内に知らされた場合、審議終了後には結果が場内放送で告知されます。審議中は着順が確定されないため、「お手持ちの馬券はお捨てにならないように」とアナウンスされることがあります。審議が長引く場合は、上位入線馬のみを確定して払い戻しを優先し、審議を継続することもあります。

審議の結果、不正や反則が認められた場合は、着順確定後に騎手に対する制裁が決定されます。制裁の内容は、反則の内容や原因によって異なります。

中央競馬では、レース終了後に5位以内入線馬の着差が電光掲示板に表示されますが、降着・失格があった場合は確定後も着差は表示されません。ただし、JRAの公式刊行物やウェブサイト上には「○位降着」と表示されます。

裁決委員への不信と改革の是非

中央競馬の裁決委員は、全員が騎手経験のないJRA職員です。このため、「裁決不信」を招いているとの指摘があります。レース騎乗経験のない「非専門家」による裁決は、度々批判の対象となります。

しかし、騎手経験者を裁決委員に登用すれば問題が解決するわけではありません。競馬関係者間の濃密な人間関係が、裁決の中立性を損なう可能性があるためです。競馬学校の同門意識や厩舎関係者の繋がりが、体育会的な「縦の関係」を生み出し、裁決に影響を与える可能性があります。

JRAも裁決の中立性を確保するため、裁定委員会に外部委員を加えるなどの対策を講じています。しかし、裁定委員会がJRAの一組織であることに変わりはなく、裁決プロセスの外部化を求める声もあります。

改革が困難な状況下で、審議の透明性を確保することが最も効果的な解決策として期待されています。審議と裁決の過程を公開し、第三者の傍聴を認めることで、ファンからの信頼回復に繋がると考えられています。

日本国外の審議

海外競馬では、審議の基準や手続きが日本と異なる場合があります。

欧州では、一般的に、審議が行われるのは被害馬が賞金の獲得に関わる場合に限られます。また、審議は騎手または調教師の主張によって行われることが多く、裁決委員が自らの判断で審議を始めるケースは稀です。

審議表示についても、上位入線馬の着順が変わる可能性のあるときだけ表示されるなど、日本の中央競馬とは異なる点があります。

審議放送

審議を行う旨や審議の結果は、場内放送でアナウンスされます。このアナウンスを審議放送と呼びます。審議放送では、発生地点、被害馬名、発生案件などがアナウンスされます。

中央競馬の「不服申立て制度」

中央競馬では、審議の結果に不服がある場合、裁決委員以外の上部機関に不服申し立てを行うことができます。ただし、申し立てには保証金が必要であり、過去の申し立てはすべて棄却されています。

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