寺居山五百羅漢

寺居山五百羅漢について

寺居山五百羅漢は、岐阜県中津川市茄子川に位置する、石造の五百羅漢像群です。現在129体の羅漢像が確認されており、江戸時代に建立された当時の姿を今に伝えています。

由緒

寺居山には、もともと中切阿弥陀堂がありましたが、安永4年(1775年)に現在地に移されました。寛政6年（1794年）、森巌寺前住職の越山が、知人の勝半蔵宅に滞在した際、寺居山の景観に感銘を受け、地中から十一面観音の木仏を発見したことがきっかけとなり、五百羅漢の建立を発願しました。

越山は師である大而宗龍の悲願を叶えるべく、尾張藩に建立を申請しました。寛政10年（1798年）に許可が下りましたが、残念ながら越山は既に亡くなっていました。建立費用は越山と丈助が折半して積み立てていたとされています。建立場所は入会地が中心でしたが、不足分は私有地の代替地や寄付で賄われました。

同年10月から、信濃国や尾張藩の石工を招き、石像の制作が始まりました。勝半蔵は、近隣の村々に趣意書を配布し、寄進を募り、まず釈迦牟尼仏石像を本尊として建立しました。その後、茄子川村を中心とした近隣の村々からの寄進により、多くの羅漢像が建立されました。享和4年(1804年)頃までに大半が寄進されたと伝えられています。

寄進額は本尊が20両、十六羅漢像が1両、五百羅漢像が2分と定められていましたが、村の共同体による寄進も多く見られました。また、町内や村内を巡って寄進を集めた例もあったようです。石佛五百羅漢勧化帳には、124体の寄進者の名前が記録されています。

寛政11年（1799年）には、越山の弟子の導師により、30体の羅漢像と他の仏像24体の開眼供養が盛大に行われました。また、同時期には、大輪和尚が漢詩に託した寺居山の景勝十二景も阿弥陀堂内に飾られました。

江戸時代の記録

大田南畝の旅行記「壬戌紀行」には、五百羅漢の存在が記されており、当時の旅人にも知られていたことがわかります。慶応2年(1866年)には、五百羅漢の開眼日が縁日となっていたことが記録されており、地域の人々の生活に深く根付いていたことが伺えます。明治元年(1868年)の記録にも、毎年4月2日に鉄砲や弓の勧進が行われていたことが記されています。

現在、寺居山五百羅漢は、曹洞宗の源長寺の境内仏とされていますが、付近には真言宗の羅漢教会も存在し、地域の人々の信仰の中心となっています。

茄子川村について

茄子川村は、旧中山道沿いの村で、木曽川の南岸に位置していました。江戸時代初期には、旗本や尾張藩家臣の入相地でした。多くの人々が中山道を行き交う場所であり、寺居山五百羅漢は、旅人の心の拠り所ともなっていたことでしょう。

所在地とアクセス

所在地：岐阜県中津川市茄子川387-4

アクセス：JR中央本線美乃坂本駅下車、徒歩約15分

関連リンク

中津川市公式サイト　坂本地区観光情報

参考文献

『中津川市史　中巻Ⅰ』
『中津川市史　中巻　別編』
* 『中津川市茄子川 寺居山五百羅漢』

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