対

「対（つい、たい）」という言葉は、二つで一組として存在するもの、またはそのように見なせる二つのものを指す際に用いられます。これらは互いに対をなす関係にあると捉えられます。

概要

特に、対象となる物の中で反対の位置にある二つの要素を指すことが多いです。具体的には、ある軸に対して向かい合う位置に同等のものが存在する場合、それらをまとめて「対」と表現します。例えば、左右対称の物体における左右のパーツなどが該当します。

また、名詞の前に置いて「～に対する」という意味で使用されることもあります。例として、「対戦車兵器」や「対米従属」などが挙げられます。さらに、二つの語句を挟んで用いる場合は、それらが競争の相手、または比較の対象であることを示します。たとえば、「阪神対巨人」や「二対一」といった表現がこれに当たります。

その他、「引き分け」を意味する「タイ（tie）」の音訳として、あるいは「対屋（ついのや）」の略称として用いられることもあります。

各分野での用法

数学

幾何学においては、図形の中で向かい合う位置にある要素を「対」と呼びます。例えば、向き合う位置にある角を「対角」といい、それらを結ぶ線分を「対角線」と言います。また、比率を表す際には、「a:b」を「a対b」と読みます。

物理学

物理学では、以下のような用法があります。

電子対: 二つの電子が対になった状態を指します。
対生成・対消滅: 粒子と反粒子が生成・消滅する現象を指します。
熱電対: 異なる金属を接合して温度差を電圧に変換する素子です。
対流: 流体内の温度差によって発生する流れを指します。

生物学

生物学では、複数の個体において、つがいを構成する二個体をまとめて「一対」と表現します。また、一個体に着目した場合、生物の器官などは体の主軸に対して左右対称に発達する例が多く、正中線から離れた位置にあるものは結果的に対をなして発達します。

外部の付属肢は往々にして対をなします。例えば、魚類においては、対をなす鰭を「対鰭」と呼びます。植物においては、葉などの器官は互い違いに出るのが一般的ですが、対をなして生じる場合を「対生（たいせい）」と呼びます。また、染色体には多くの生物で同一細胞内に同型のものが2つずつ、つまり一対ずつ存在し（相同染色体）、減数分裂時にはこれらが互いに接着し「対合」という現象を起こします。

関連項目

対角線
ペア
双対性
相関関係、相関概念
「対」で始まるページの一覧
タイトルに「対」を含むページの一覧

もう一度検索