対戦車兵器

対戦車兵器

対戦車兵器とは、狭義には戦車を攻撃するための火器そのものを指し、広義には対戦車システム全般を指します。ここでは、他の兵器運用体系に組み込まれずに単体で使用される兵器について取り上げます。

分類

対戦車兵器は、使用する弾薬や投射手段によって分類できます。

弾薬類

徹甲弾（AP）: 運動エネルギーを利用して装甲を貫徹する弾薬。
高速徹甲弾（HVAP）: 徹甲弾の速度を向上させたもの。
装弾筒付徹甲弾（APDS）: 弾芯を装弾筒で覆い、発射後に分離することで初速を向上させた徹甲弾。
装弾筒付翼安定徹甲弾（APFSDS）: APDSに翼を付加し、安定性を高めた徹甲弾。
成型炸薬弾: 爆発のエネルギーを一点に集中させ、装甲を貫徹する弾薬。
粘着榴弾: 装甲に吸着し、爆発によってダメージを与える榴弾。
対戦車地雷、爆薬類: 肉薄攻撃に使用される。
*対戦車榴弾
*火炎瓶
*吸着地雷

投射手段

対戦車ライフル（対物ライフル）: 大型ライフルで装甲を貫徹する。
対戦車擲弾/対戦車擲弾発射器: 擲弾を発射して攻撃する。
小銃擲弾: 小銃に取り付けて発射する擲弾。（例：M31 HEAT ライフルグレネード）
対戦車ロケット擲弾: ロケット推進で飛翔する擲弾。（例：RPG、M72 LAW）
無反動砲: 発射時の反動を軽減する機構を備えた火砲。（例：パンツァーファウスト、RPG-2）
対戦車ミサイル: 誘導機能を持つミサイル。
対戦車砲
動物兵器: 動物を利用した兵器。（例：対戦車犬）
肉薄攻撃: 兵士が手で弾薬類を設置したり投擲する。

プラットフォーム

対戦車兵器を搭載するプラットフォームには、以下のようなものがあります。

対戦車車両
攻撃ヘリコプター
攻撃機

歴史

第一次世界大戦

戦車の登場は、敵軍に大きな衝撃を与えました。ドイツ軍は、対戦車銃を投入し、火炎瓶を使用するなどの対策を講じました。

戦間期から第二次世界大戦

各国軍に対戦車砲が配備され、戦車の装甲強化に対抗して大型化が進みました。また、成型炸薬弾の実用化により、歩兵の対戦車能力が向上しました。

第二次大戦後から現代

対戦車ミサイルが登場し、戦車の装甲と対戦車火器のシーソーゲームが始まりました。近年では、運動エネルギーで戦車を撃破できる対戦車ミサイルも登場しています。しかし、都市部での戦闘やゲリラ戦においては、IEDや地雷による攻撃が深刻化しています。

現代の戦車は機械化された随伴歩兵をともなっているため戦歩分離が難しく、戦車自身も高度な探査センサーを装備しているため、肉薄攻撃自体が困難なものになっています。また、イラク戦争以後はIEDや地雷による攻撃が深刻化しています。

関連項目

戦車

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