対戦車擲弾

対戦車擲弾

対戦車擲弾とは、歩兵が携行・投擲できる対戦車兵器の総称です。戦車の装甲を破壊することを目的として開発されました。

概要

対戦車擲弾は、大きく分けて以下の3つの種類があります。

手榴弾型: 人力で投擲する最も初期のタイプ。当初は爆発力を高めたものが主流でしたが、後に成形炸薬弾頭を使用し、装甲貫通力を強化。
小銃擲弾型: 小銃に取り付けて発射するタイプ。手榴弾型よりも遠距離を狙えます。成形炸薬弾頭を使用し対戦車戦闘にも用いられます。
* 対戦車擲弾発射器: 無反動砲の原理を応用し、大型の擲弾を発射する武器。対戦車ロケット弾もこのカテゴリーに含まれます。

手榴弾型

手榴弾型は、人力で投擲される最も初期の対戦車擲弾です。当初は、M24型柄付手榴弾やRGD-33手榴弾などの柄付式手榴弾の弾頭に他の手榴弾を括り付けて爆発力を増した収束手榴弾や、工兵用の梱包爆薬などが用いられました。これらの手榴弾は、爆発時の爆風や衝撃波によって戦車の装甲や履帯、ラジエーターなどの弱点を破壊することを目的としていました。

しかし、戦車の装甲が強化されるにつれて、単なる爆発では十分な効果を発揮できなくなりました。そこで、粘着榴弾や成形炸薬などの技術が導入され、装甲貫通力の強化が図られました。成形炸薬弾頭は、着弾時の角度によって効果が変わるため、投擲時に姿勢維持用の小型パラシュートを展開するように設計されたものもあります。

戦車の性能向上と運用戦術の洗練に伴い、手榴弾型対戦車擲弾は、戦車に接近して投擲することが困難になりました。また、人力で投擲するため、弾頭の大型化にも限界があります。そのため、現在ではほとんど使用されていません。

小銃擲弾型

小銃擲弾型は、小銃の先端部に装着し、空包もしくは実包を利用して投射する対戦車擲弾です。手榴弾型よりも遠距離の標的を狙うことができますが、後述の対戦車擲弾発射機に比べると射程は短くなります。

安定翼によって指向性を持たせることができるため、成形炸薬弾頭による対戦車戦闘にも用いられます。しかし、サイズの限界から、主力戦車に対しては力不足であり、アンダーバレル式グレネードランチャーの代わりに対人・対軽装甲車両の両用兵器として運用されることが多いです。

旧来の小銃擲弾は、装着するためにアダプターが必要で、空包で発射する必要があり、小銃射撃ができなくなるという欠点がありました。しかし、近年の小銃擲弾は、防弾布のブレットトラップによって、アダプター無しで実包を発射することが可能になり、小銃手がいつでも使用できる汎用的な装備となっています。

対戦車擲弾発射器

対戦車擲弾発射器は、無反動砲の原理を導入し、個人が大型の擲弾を発射できるようにした武器です。投射距離をさらに延長するため、対戦車ロケット弾としたものも少なくありません。対戦車ミサイルの運用が拡大するにつれて、対戦車擲弾発射器は徐々に姿を消していますが、構造が簡便で安価であり、比較的容易に扱えることもあって、近距離用の対戦車兵器としては現在でも現役です。

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